糖尿病の3大合併症は、し(神経)・め(眼)・じ(腎臓)の順で進行していきます。
が、どれも初期からフォローしていくことが大切です。
その中でも神経障害は血糖値の改善以外で防ぐことが難しく、眼はごめんなさい眼科さんに診てもらうことになります。
腎臓は糖質だけでなく塩分摂取量の改善や薬で守ることができます。
糖尿病腎症は初期症状に乏しいため、微量アルブミン尿(尿中Alb 30-299)で見つけていきます。
微量Alb尿そのものでも心筋梗塞のリスクとなるので、どうにか改善していきたいものです。
一度悪くなると治すことができない腎機能。糖尿病の初期からの介入しましょう!
- ◯ アルブミン尿は腎症を進行させる。アルブミン尿を抑制するため、腎症の進行を予防するために血糖コントロール、降圧、食塩摂取制限、薬物治療を複合的に行う。
- ◯厳格な血圧コントロール(<130/80mmHg)を含めた強化治療の有意な腎イベント抑制効果が確認された。ちなみに、糖尿病腎症合併例において、血糖値に関しては厳格な血糖コントロール(HbA1c <7.0%)は推奨されない。重篤な低血糖の出現、体重増加(低血糖で食事増える)、致死性不整脈の誘発から死亡率の増加を招く可能性がある。少し緩めのコントロール(7%台)が推奨されている。
- ◯ 食塩摂取制限では血圧低下効果、アルブミン尿減少効果がある。
- ✕ 減塩することでRA系阻害薬(ACE阻害薬・ARB)の腎保護効果をより発揮させる。尿中Na排泄量が多い群(摂取食塩量が多い群)ではこの効果は消失するため、きちんと減塩を指導することが薬の効果を高めるためにも重要である。
- ◯MR拮抗薬は尿細管においてNa-K交換チャネルを阻害することでNaを排泄させる。高Kを副作用として生じるため、K値5.5以上では禁忌である。服用中にK値4.8-5.5になったら用量維持で経過観察する(10mg投与中なら10mg、20mg投与中なら20mgを継続する)。K値とeGFRが問題なければできる限り20mgの継続を続ける。
糖尿病腎症とは
・典型的な腎症として、糸球体障害に起因した尿タンパクの増加に伴い尿細管障害が進行する。
・ネフロンの喪失とともに腎機能低下をきたす進行性腎疾患である。
- 一度低下した腎機能の回復は困難である。
- 腎予後の改善には早期診断、早期治療による予防が重要。
- 尿中アルブミン測定による早期診断をもとに、治療介入する。
- 微量アルブミン尿(尿中Alb 30-299)の出現が、その後の顕性アルブミン尿(300<)への進行や腎機能低下のリスクになる。
- 顕性タンパク尿を伴わずに腎機能が低下する症例が存在する点に注意する。
腎機能の評価
- 腎機能はGFR(糸球体濾過量)で評価される。
- イヌリンクリアランス、クレアチニンクリアランス(Ccr)、推算糸球体濾過量(eGFR)が用いられる。
特にeGFRで評価されることが多いが、薬によっては投与量を決定する場合にCcrを使うこともある。
イヌリンクリアランス
- 点滴静注されたイヌリンの尿中へのクリアランスを測定することで腎機能を評価する。
利点:最も正確に腎機能を評価することができる。
欠点:手技が煩雑であり、日常診療で行うのは困難である。
クレアチニンクリアランス(Ccr)
- 24時間蓄尿を用い、クレアチニンの尿中へのクリアランスを測定することで腎機能を評価する。
計算式
Ccr(mL/分)={Ucr(mg/dL)×UV(mL/日)}/{Scr(mg/dL)×1,440(分/日)}
(Ucr:尿中クレアチニン、UV:24時間尿量、Scr:血清クレアチニン)
利点:血液検査と尿検査のみで比較的正確な腎機能評価が可能である。
欠点:
- 正確な24時間蓄尿が必要である。
Cockcroft Gault式を用いた推算式(薬物量調整のために使用することがある)
Ccr(ml/min)=(140-年齢(歳))×(体重(kg))/(72×Scr(mg/dl)) (女性の場合×0.85)
- 実際に使うのはこちらが基本。
- 年齢(問診)・体重(問診)・血清Cr値(採血)で計算できる。
- 式は覚えなくてよい。
- ネットで調べれば数値を入れるだけで計算してくれる。
- eGFRとの違いは、Ccrは実測GFRよりも20-30%高い値となる可能性がある点。
推算糸球体濾過量(eGFR)
eGFRcr
- 血清クレアチニン値用いた式により腎機能を推定する。
- 基準値 60≦
eGFR(mL/分/1.73m2)=194×Scr(mg/dL)-1.094×年齢-0.287(女性は×0.739)
利点:
- 血液検査のみで腎機能を推定することができる。
- 75%の症例で実測GFR±30%の範囲に入る。
欠点:
- 標準的な体表面積(1.73m2)で補正されているため、大柄もしくは小柄な体格の場合には誤差が大きくなる。
- 筋肉量が少ない患者では高く推算される。
- 激しい運動や加熱調理した肉の大量摂取で低く推算される。
eGFRcys-c
・血清シスタチンC値を用いて腎機能を推定する。
男性:eGFRcys-c(mL/分/1.73m2)=(104×Cys-C-1.019×0.996年齢)-8
女性:eGFRcys-c(mL/分/1.73m2)=(104×Cys-C-1.019×0.996年齢×0.929)-8
利点:シスタチンCは全有核細胞から分泌されるため、筋肉量や食事内容の影響を受けにくい。
欠点:
- 標準的な体表面積(1.73m2)で補正されているため、大柄もしくは小柄な体格の場合には誤差が大きくなる。
- 血清シスタチンC値に影響を及ぼす腎機能低下以外の病態が明らかとなっていない。
アルブミン尿・腎症の進行を防ぐために
アルブミン尿は腎症を進行させる。
アルブミン尿を抑制するため、腎症の進行を予防するために
- 血糖コントロール
- 降圧
- 食塩摂取制限
- 薬物治療
を複合的に行う。
それぞれどのレベルで治療すればどの程度の効果が得られるのでしょう?
血糖コントロール
結論
低血糖なし:血糖値<110、HbA1c <7.0%
低血糖(のリスク)あり、高齢者:血糖値140程度、HbA1c 7.0%台
- 血糖コントロールは糖尿病腎症の発症ならびに早期腎症の進行抑制に有効である。
注意点
- 腎機能低下例では、薬物動態の変化や腎における糖新生の低下により、低血糖の危険性が高まる。
- 長い糖尿病罹患歴・高齢者・心血管病の既往を有する例では、低血糖が生じないように緩やかな血糖コントロールが必要。
- 厳格な血糖コントロール(HbA1c <7.0%)が重篤な低血糖の出現、体重増加(低血糖で食事増える)、致死性不整脈の誘発から死亡率の増加を招く可能性がある。
降圧目標
結論
腎症患者の降圧目標130/80mmHg未満
- 厳格な血圧コントロール(<130/80mmHg)を含めた強化治療の有意な腎イベント抑制効果が確認された。
食塩摂取制限
結論
男:<7.5g 女:<6.5g
高血圧合併:<6.0g
顕性アルブミン尿期(尿中Alb 300≦)〜:<6.0g
- 糖尿病腎症に食塩摂取制限は推奨される。
- 食塩摂取制限による血圧低下効果、アルブミン尿減少効果がある。
- 食塩摂取制限では腎機能低下やネフローゼ症候群、心機能低下を有する症例では、心不全や難治性浮腫による入院や早期透析導入の回避につながる。
腎症と塩分の関係
- 食塩摂取量増大に伴う血圧上昇(食塩感受性高血圧)は糖尿病や肥満患者で多くみられる。
- この病態は腎機能障害の進行とともにさらに亢進する。
- 腎症患者では食塩摂取制限により降圧効果、アルブミン尿減少効果が期待される。
薬の効果と減塩のメリット
- 減塩することでRA系阻害薬(ACE阻害薬・ARB)の腎保護効果をより発揮させる。
- 尿中Na排泄量が少ない群では、ARBにより、eGFR低下速度の改善がみられる。
- 尿中Na排泄量が多い群ではこの効果は消失する。
注意点
- 極端な食塩摂取制限は全死亡、末期腎不全を増加させる。
- RA系阻害薬を使用している腎機能低下症例や高齢者などに食塩摂取制限を指導する場合には、脱水予防やK制限も含めた指導が必要である。
タンパク質制限
結論
栄養面など問題なければ実施する。
微量アルブミン尿期(尿中Alb 30-299):
顕性アルブミン尿期(尿中Alb 300≦)〜:
- 糖尿病腎症の進行抑制に対してタンパク質制限は有効であるとされる。
- しかし、臨床的エビデンスは十分ではない。
栄養不足など他に要因がある場合に無理に行われるものではない。
タンパク質制限が腎症の進行を抑制する効果を有するとしても
・どの程度のタンパク質制限が必要なのか(現在推奨されている顕性腎症期:0.8-1.0g/標準体重kg/日、GFR<45:0.6-0.8g/標準体重kg/日では不十分なのか)
・どの時期から施行すべきか
・栄養学的安全性
など解決すべき課題は多い
臨床的エビデンスが集まらない理由
- 期間、タンパク質制限量、腎症病期、タンパク質制限の達成度が一定しない、各症例間における薬物療法を一律にすることが困難。
- タンパク質の必要量は、年齢、個々の状態により異なるため、画一的なタンパク質制限は不適切であり、個々の年齢、病態、リスク、腎機能低下速度、アドヒアランスなどを総合的に判断して行う必要がある。
腎性貧血
- 糖尿病では、他の原疾患によるCKDに比較して貧血の頻度が高い。
- 貧血は末期腎不全あるいは死亡に対する独立した危険因子である。
Hb濃度の目標
結論:
・Hb濃度を11-13g/dLを維持する。
・Hif-ph阻害薬やESA製剤(erythropoiesis stimulating agent:赤血球造血刺激因子製剤)を使用してよいが、過剰にHb濃度を上げない。
・エリスロポエチンの分泌を促進させる酵素(Hif)を分解するHif-phを阻害する。
・慢性炎症時などの鉄の利用が障害されている時に、鉄の利用も改善してくれる作用があること、経口薬であり、注射薬で病院の受診が必要となるESA製剤と比べた場合に使用しやすい。
- ロキサデュスタット(エベレンゾ)
- ダプロデュスタット(ダーブロック)
- バダデュスタット(バフセオ)
- エナロデュスタット(エナロイ)
- モリデュスタット(マスーレッド)
・詳しくはいつかまとめます。
- エリスロポエチンに修飾を加えた注射薬であり、2-4w毎に病院で投与しなければならないのがデメリット。
- エポジン®、エスポー®、エポエ チンアルファBS®、ネスプ®、ミルセラ®がある。
- Hb濃度と末期腎不全の発症率との関連として、Hb濃度が最も高かった群に比べてHb濃度が低かった群では有意に末期腎不全への移行率が高かった。
- Hb13g/dLを目標にダルベポエチンアルファを投与した群(目標高値群)は、投与しなかった対照群と比較して死亡・ 心血管イベント・末期腎不全への進行は同等である。
- 脳卒中の発症リスクが対照群に比べ、目標高値群(中央値Hb 12.5g/dL)で2倍に増加している。
- 腎症以外の原疾患を含む保存期CKDにおける目標Hb値9-11g/dLと13g/dL以上を比較した臨床試験においても高Hb値群における優位性は示されなかった。
- 高Hb値群で死亡、心筋梗塞、心不全入院、脳卒中のリスクが有意に高い。
- 高用量ESAの使用がそのリスクと最も関連していた。
- ESA使用による保存期CKD患者に対する腎性貧血の治療は、目標Hb値10-11.5g/dLとし、Hb13g/dLへ意図的に上昇させないこと。
- ダルベポエチンにより目標Hb11-13g/dLとした群とrHuEPOにより目標Hb9-11g/dLとした群を比較の結果、CKD stage 5の非糖尿病腎症患者では目標Hb値11-13g/dLとした場合に腎生存率が改善する。
- 「日本腎臓学会のCKD診療ガイドライン2018」では、保存期CKD患者のESA治療における目標Hb値は11g/dL以上、13g/dL未満が提案されている。
- 貧血が腎症の進行リスクである可能性があるため、腎症においても目標Hb値11g/dL以上、13g/dL未満を目安にしつつ、個々の心血管疾患リスクおよびESAの過剰投与の回避に留意した貧血治療を行う。
・Hb濃度11-13g/dLを維持する。
・Hif-ph阻害薬やESA製剤(erythropoiesis stimulating agent:赤血球造血刺激因子製剤)を使用してよいが、過剰にHb濃度を上げない。
となる。
注意点
- 腎性貧血の診断には、他の貧血をきたす疾患を除外することが重要であり、鉄欠乏、ビタミン B12・葉酸欠乏、亜鉛欠乏、血液疾患などの合併の有無についての鑑別診断が必要である。
心血管疾患
- 糖尿病腎症患者は、心血管疾患の合併率が高く、心血管疾患による死亡の頻度が高い。
- GFRの低下とアルブミン尿は、心血管疾患の独立したリスクファクターである。
- 腎症の年間進行率は、正常アルブミン尿から微量アルブミン尿2.0%、微量アルブミン尿から顕性アルブミン尿2.8%、顕性アルブミン尿から腎不全2.3%であったのに対して
- 心血管疾患を含む年間死亡率は、正常アルブミン尿1.4%、微量アルブミン尿3.0%、顕性タンパク尿4.6%、腎不全19.2%と腎症病期の進行とともに増加を認めた。
GFRの低下とアルブミン尿は、心血管死、非心血管死、全死亡に対する独立したリスクファクターとなっている。
糖尿病腎症の進行を抑制する薬
- MR(ミネラルコルチコイド)の過剰活性が心血管障害、腎障害を引き起こす。
- MRはアルドステロンによって活性化されるだけでなく、糖尿病や肥満、食塩過剰摂取によって、アルドステロンとは無関係に活性化される。
フィネレノン(ケレンディア)
適応:2型糖尿病を合併する慢性腎不全
- 抗MR作用で心血管、腎障害を抑制する。
- 開始用量はK値とeGFRで決める。基本の服用量は20mgとなる。
- K値<4.8の患者に開始する。
- eGFR<60の場合は10mg(少量)から開始する。
→K値、eGFR値に異常がなければ4週間後を目安に20mgへ増量する。
禁忌:
- K値5.5≦
- 末期腎不全や透析(eGFR<25は投与を慎重に判断)
副作用:K値上昇
- 服用中にK値4.8-5.5になったら用量維持で経過観察。
- 高K血症はプラセボ5%に比べて12%と多かったが、平均では0.2程度の上昇であった。
- 脱力感や吐き気といった高K血症の初期症状を伝える。
・10mg錠と20mg錠の生物学的同等性は示されていないため20mgを投与する場合は10mgを2錠で使用できない。
糖尿病薬
SGLT2阻害薬
- エンパグリフロジン(ジャディアンス)、カナグリフロジン(カナグル)、ダパグリフロジン(フォシーガ)の追加治療が腎機能低下や末期腎不全への進行を低下しうる。
- さらにカナグリフロジンに関しては、顕性アルブミン尿(尿中Alb 300<)を有する腎症進行症例を対象に腎イベントを一次エンドポイントとした臨床試験においても有効性が示されている。
その他の糖尿病薬
- GLP-1作動薬(リラグルチド(ビクトーザ)、セマグルチド(オゼンピック、リベルサス)、デュラグルチド(トルリシティ))は顕性アルブミン尿の発症を抑制する。
- DPP-4阻害薬は血糖の改善とは独立したアルブミン尿減少効果を示す。
脂質異常症薬
・糖尿病腎症における脂質異常薬(フィブラート、スタチン)は腎機能の低下がない腎症の進行抑制に対して有効である。
- フィブラートあるいはスタチンは腎症の進行を抑制する可能性があるが、脂質コントロールを介した効果か、薬剤自体の効果については明らかではない。
- 平均LDL値が104mg/dLと85mg/dLであった場合、より厳格な脂質コントロール治療の有意な腎イベント抑制効果があった。
- CKDにおいては、フィブラートが腎障害リスクとなる可能性があること、添付文書上で禁忌(ベザフィブラート:血清Cr 2≦、フェノフィブラート:eGFR<40)となっていることは留意すべきである。
- PCSK9阻害薬(エボロクマブ(レパーサ))による腎保護効果に関するエビデンスは現時点では報告されていない。(2019)
フェノフィブラート(リピディル、トライコア)
- 5年にわたる薬剤投与期間中のeGFRの低下速度を緩徐とさせた。
- 服用開始後に血清Cr値は増加するが、薬剤中止後には低下する。
- 最終的にはeGFRはフェノフィブラート投与群で高値となった。
- アルブミン尿の進行、特に微量アルブミン尿の発症を有意に抑制し、腎症の病期の進行を14%抑制した。
アトルバスタチン(リピトール)
- eGFRの年間低下速度を0.18 mL/分改善し、開始時点で微量アルブミン尿を呈していた患者では年間0.38mL/分の改善を認めた。
- アルブミン尿に対する効果は示さなかった。
RA系阻害薬
・糖尿病腎症に有効である。
- バルサルタンとアムロジピンの血圧を同程度に低下させた比較では、24wでバルサルタンが有意に尿中アルブミン排泄を減少させた。
- 他の降圧薬でも血圧低下に依存したアルブミン尿減少効果が認められる。
- イルベサルタンとアムロジピンの比較では、降圧効果に差は認められなかったが、イルベサルタンで有意な(Scr悪化、末期腎不全、全死亡)の改善がみられている。
- ACE阻害薬とARBのいずれかの優位性は示されていなく、効果は同等と考えられる。
- RA系阻害薬使用後は軽度のScr上昇であっても、相対的な死亡率を上昇させるため、高カリウム血症、腎機能悪化には注意が必要である。
少なくともK値と腎機能だけはフォローして続ける。
問題
- ◯ アルブミン尿は腎症を進行させる。アルブミン尿を抑制するため、腎症の進行を予防するために血糖コントロール、降圧、食塩摂取制限、薬物治療を複合的に行う。
- ◯厳格な血圧コントロール(<130/80mmHg)を含めた強化治療の有意な腎イベント抑制効果が確認された。ちなみに、糖尿病腎症合併例において、血糖値に関しては厳格な血糖コントロール(HbA1c <7.0%)は推奨されない。重篤な低血糖の出現、体重増加(低血糖で食事増える)、致死性不整脈の誘発から死亡率の増加を招く可能性がある。少し緩めのコントロール(7%台)が推奨されている。
- ◯ 食塩摂取制限では血圧低下効果、アルブミン尿減少効果がある。
- ✕ 減塩することでRA系阻害薬(ACE阻害薬・ARB)の腎保護効果をより発揮させる。尿中Na排泄量が多い群(摂取食塩量が多い群)ではこの効果は消失するため、きちんと減塩を指導することが薬の効果を高めるためにも重要である。
- ◯MR拮抗薬は尿細管においてNa-K交換チャネルを阻害することでNaを排泄させる。高Kを副作用として生じるため、K値5.5以上では禁忌である。服用中にK値4.8-5.5になったら用量維持で経過観察する(10mg投与中なら10mg、20mg投与中なら20mgを継続する)。K値とeGFRが問題なければできる限り20mgの継続を続ける。