あまり眠剤として馴染みの少ないエバミールかもしれませんが、実は高齢者に適する薬でもあるんです。
高齢者では肝機能が落ちていたり、薬剤の服用も多く相互作用に注意しなければいけません。
エバミールの利点は肝機能に影響されにくく、CYPの影響を受けないため相互作用が少ないのです。
よく処方をみかけるゾルピデム(マイスリー)とトリアゾラム(ハルシオン)と比べてみましょう。
最近では新規にわざわざトリアゾラムを選択することは少ないとは思いますが。
高齢者の眠剤はエバミール(ロルメタゼパム)が使いやすい
エバミール(ロルメタゼパム)
- 短時間作用型(作用発現:15-30分 作用時間:6h)
- グルクロン酸抱合のみを受ける。
抱合反応は加齢による影響をあまり受けない。
- 代謝物に活性がない。
- CYP3A4阻害薬(イトラコナゾール(トリアゾラム(ハルシオン)とは禁忌))やCYP誘導薬(リファンピシン(トリアゾラムは効果無効になる))とも併用できる。
- 筋弛緩作用が弱い。
ゾルピデム(マイスリー)
- 超短時間作用型(作用発現:30分以内 作用時間:1-2h)
- 高齢者や肝硬変患者への投与ではCmax、Tmax、T1/2は2倍、AUCは5倍大きくなる。
- 翌朝の血中濃度が高い割合が、男性よりも女性で多かった。
代謝に男女差があるが、作用機序は不明。
米国では推奨開始容量が男性で5-10mgであるのに対し、女性では5mgとなっている。
- CYPによる代謝を受ける(代謝物には活性がない)。
トリアゾラム(ハルシオン)
- 超短時間作用型(作用発現:15分 作用時間:3h)
- CYPによる代謝を受ける(代謝物にも活性がある)。
※CYP3A4活性は女性より男性の方が低いとされているため、肝血流量や肝容積の低下が認められる高齢の男性では効果が増強する可能性が高い(トリアゾラム、アルプラゾラム(ソラナックス)、ジアゼパム(セルシン))。
- 依存性が強い。
- 筋弛緩作用が強い。
夜間にトイレに行く際の転倒が問題となりやすい。