2023年12月、認知症に待望の新薬が登場しました。
軽度の認知症から予防に適応がありますが、1ヶ月の治療費は1割負担でだいたい2万円!
3割負担だとその3倍です。
臨床効果についてはまだまだこれから情報を得たいところですが、
アミロイド関連画像異常という特徴的な副作用は発現により投与中止にもなるため、押さえておきましょう。
e
- ◯ アミロイドβになる前の状態にくっつき、脳内のアミロイドβを減らすことで認知症の進行を予防する。
- ◯ MMSE(簡易認知機能評価尺度)22点以下、CDR(認知症の重症度評価尺度)0.5-1が対象である。
- ◯ アミロイド関連画像異常を確認するために、投与開始2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月以内にMRIを撮影する。
- ◯ 健常者における脳微小出血の有病割合は5.7%、加齢により割合は増加し、脳内出血や脳梗塞では60%、アルツハイマーでは18%にみられる。
- ✕ アミロイド関連画像異常があっても、症状がなく画像所見の変化が軽度であれば継続できる。中等度異常の変化があった場合は本文参照。
レカネマブ(レケンビ)
薬理作用
- 抗アミロイドβプロトフィブリル抗体:アミロイドβプロトフィブリルに結合する。
- ミクログリア細胞によるFc受容体を介したアミロイドβの食作用を促進し、脳内アミロイドβの減少作用に寄与する
・アミロイドβになる前の状態にくっつき、脳内のアミロイドβを減らすことで認知症の進行を予防する。
治療対象
- MMSE(簡易認知機能評価尺度)22点以下、CDR(認知症の重症度評価尺度)0.5-1が対象。
- CDR 0.5または1の状態とは認知機能障害はあるが日常生活は自立している、あるいは服薬管理や金銭管理等の障害はあっても身の回りのことは自立している状態がひとつの目安。
投与後の検査
投与開始2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月以内にそれぞれMRIを撮影し、アミロイド関連画像異常を確認する。
副作用
アミロイド関連画像異常(ARIA:Amyloid-Related Imaging Abnormalities)
- MRIで確認される脳の画像異常であり、アミロイドβの標的薬に特異的な有害事象でもある。
- 脳浮腫や脳内の滲出液貯留によって生じる浮腫性変化と、脳の表面上に認めた微小な出血の斑点により生じる出血性変化に分けられる。
- アミロイド関連画像異常の発現頻度とApoEε4遺伝子多型に相関がある(特にホモだと頻度が上がる)。
アミロイドβの蓄積や凝集に関わる蛋白質の1つ。
アミロイド関連画像異常のリスクは、ApoEε4遺伝子を測定することで測ることができる。しかし、アミロイド関連画像異常がもたらし得る臨床的な影響は不明確であるため、遺伝子検査をすることは現実的ではない。
浮腫性変化(ARIA-E)
- 抗アミロイドβ薬の投与量と量反応関係を認める。
- 多くは無症状で、稀に頭痛、錯乱、めまい、視力の変化、吐き気が表れる。
出血性変化(ARIA-H)
- 脳内の微小血管からの出血痕、すなわち脳微小出血であり、ヘモグロビンの分解産物であるヘモジデリンが脳表面に沈着したもの。
- 健常者における脳微小出血の有病割合は5.7%、加齢により割合は増加し、脳内出血や脳梗塞では60%、アルツハイマーでは18%にみられる。
- 脳血管疾患の再発や、認知機能の低下の予測因子であると指摘されているが、予後に与える臨床的な影響の詳細は明らかでない。
アミロイド関連画像異常について中止の基準
添付文書より
- ARIA-EにしてもARIA-Hにしても症状がなく軽度であれば継続できる。
- 症状がなく、中等度以上であれば画像所見が安定化するまで中断する。
- 症状があれば、症状が無くなり、画像所見が安定化するまで中断する。
問題
e
- ◯ アミロイドβになる前の状態にくっつき、脳内のアミロイドβを減らすことで認知症の進行を予防する。
- ◯ MMSE(簡易認知機能評価尺度)22点以下、CDR(認知症の重症度評価尺度)0.5-1が対象である。
- ◯ アミロイド関連画像異常を確認するために、投与開始2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月以内にMRIを撮影する。
- ◯ 健常者における脳微小出血の有病割合は5.7%、加齢により割合は増加し、脳内出血や脳梗塞では60%、アルツハイマーでは18%にみられる。
- ✕ アミロイド関連画像異常があっても、症状がなく画像所見の変化が軽度であれば継続できる。中等度異常の変化があった場合は本文参照。