認知症

【認知症#3】アセチルコリンエステラーゼ阻害薬:3つの薬の使い分けとメマンチン

AChE阻害薬(アセチルコリンエステラーゼ阻害薬)はドネペジル(アリセプト)、ガランタミン(レミニール)、リバスチグミン(リバスタッチパッチ・イクセロンパッチ)の3剤がある。

NMDA受容体拮抗薬はメマンチン(メマリー)のみとなる。

早期に治療開始することで予防効果が高まるため、上手に治療薬を選択して治療を続けていきたい。

Quiz

AChE(アセチルコリンエステラーゼ)阻害薬とメマンチンについて誤っているものはどれか。

  1. AChE阻害薬は痩せた高齢者に使用するときは注意を要する。
  2. ドネペジルは飲み忘れても血中濃度の低下が少ない。
  3. ドネペジルはOD錠や細粒がある。
  4. リバスチグミンはブチルコリンエステラーゼを阻害する作用も持つ。
  5. メマンチンは物忘れが始まった初期からの服用に適する。

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  1. AChE阻害薬は副作用として悪心・嘔吐、下痢の消化器症状がある。食欲低下につながるため、やせが問題となる高齢者では注意が必要である。
  2. ドネペジルは半減期が約80hと長いことが利点となる。1回の服用忘れによる影響は少ない。
  3. ◯ドネペジルは剤形が豊富であり、患者に合わせた剤形を選ぶことができる。
  4. リバスチグミンはブチルコリンエステラーゼを阻害することで、グレリン(食欲亢進H)の分解を抑制するため食欲が落ちにくいという利点がある。
  5. ✕‬メマンチンはNMDA受容体拮抗薬である。中等度以上の認知症の患者で、周辺症状がある場合の処方に適する。
  • OD(口腔内崩壊錠)
  • 細粒(1回0.6g(ドネペジル3mg)と1.0g(ドネペジル5mg))
  • DS(ドライシロップ)
  • 内服ゼリー(3mg、5mg、10mgの分包品がある)
  • テープ(ただし大きい(最低約8cm四方))(アリドネパッチ)
  • GEにはODフィルム(フィルム状の経口薬)、内用液がある。

治療薬の選択

  • AChE阻害薬はこだわりがなければどれを選んでも大きく変わりない
  • 経口なら1日1回のドネペジル貼付がよければリバスチグミンを使う。
  • 作用はドネペジルが強い。他の2剤はそれ以外の薬理効果を併せ持つ。
  • 唯一作用が異なるメマンチン周辺症状がある患者に使用する。
  • 興奮・不安・抑うつ・徘徊。
  • 認知症において認知機能障害を中核症状とする。

AChE(アセチルコリンエステラーゼ)阻害薬

副作用

  • 悪心・嘔吐、下痢
  • 頭痛
  • 脈拍低下、不整脈
AChEを阻害し、アセチルコリンが増えることに起因する副作用である。

ドネペジル(アリセプト)

  • 血中濃度半減期が80h以上と長い。
服用忘れがあっても血中濃度が下がらない利点だが、副作用が発現した時もその影響が長く続くので注意。
  • 高度の認知症にも使用できる。
  • 剤形が豊富。
  • OD(口腔内崩壊錠)
  • 細粒(1回0.6g(ドネペジル3mg)と1.0g(ドネペジル5mg))
  • DS(ドライシロップ)
  • 内服ゼリー(3mg、5mg、10mgの分包品がある)
  • テープ(ただし大きい(最低約8cm四方))(アリドネパッチ)
  • GEにはODフィルム(フィルム状の経口薬)、内用液がある。

ガランタミン(レミニール)

  • 1日2回服用であるから処方されにくいが、液剤があるため介助のしやすさが選択のポイントとなる。
  • 軽度から中等度までの認知症に使用できる。
  • 重度の腎機能障害(CCr<9)では使用を避ける。
  • 重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)では使用を避ける。

リバスチグミン(リバスタッチ・イクセロンパッチ)

  • 製剤を剥がした後の半減期は3h
副作用が発現した場合、剥がすことで影響が少なくて済む。
  • 急激な血中濃度上昇がないため消化器症状などのSEが発現しにくい。
  • 乾燥肌で掻爬行動が見られる場合は避ける。
  • ブチルChE阻害作用も有し、グレリン(食欲亢進H)の分解を抑制するため食欲が落ちにくい
食欲のない場合に選択しやすい

NMDA受容体拮抗薬

副作用

  • めまい、傾眠、頭痛
  • 便秘、食欲不振

メマンチン(メマリー)

NMDA(N-methyl-D-aspartate)受容体拮抗薬である。NMDA受容体はグルタミン酸受容体の一つである。

  • 中等度以上の認知症に使用できる。
  • 落ち着かず、夜眠れない患者や、周辺症状がある患者にはAChE阻害薬を避け、鎮静作用を有するメマンチンを処方する。
睡眠薬を使用するくらいならメマンチンがいい場合もある。
  • 基礎疾患に消化管出血、徐脈性不整脈、抗不整脈薬の服用中ではAChE阻害薬を避け、メマンチンを使う
  • eGFR30未満では注意が必要(慎重投与で維持量は10mg)。
Quiz

AChE(アセチルコリンエステラーゼ)阻害薬とメマンチンについて誤っているものはどれか。

  1. AChE阻害薬は痩せた高齢者に使用するときは注意を要する。
  2. ドネペジルは飲み忘れても血中濃度の低下が少ない。
  3. ドネペジルはOD錠や細粒がある。
  4. リバスチグミンはブチルコリンエステラーゼを阻害する作用も持つ。
  5. メマンチンは物忘れが始まった初期からの服用に適する。

e

  1. AChE阻害薬は副作用として悪心・嘔吐、下痢の消化器症状がある。食欲低下につながるため、やせが問題となる高齢者では注意が必要である。
  2. ドネペジルは半減期が約80hと長いことが利点となる。1回の服用忘れによる影響は少ない。
  3. ◯ドネペジルは剤形が豊富であり、患者に合わせた剤形を選ぶことができる。
  4. リバスチグミンはブチルコリンエステラーゼを阻害することで、グレリン(食欲亢進H)の分解を抑制するため食欲が落ちにくいという利点がある。
  5. ✕‬メマンチンはNMDA受容体拮抗薬である。中等度以上の認知症の患者で、周辺症状がある場合の処方に適する。
  • OD(口腔内崩壊錠)
  • 細粒(1回0.6g(ドネペジル3mg)と1.0g(ドネペジル5mg))
  • DS(ドライシロップ)
  • 内服ゼリー(3mg、5mg、10mgの分包品がある)
  • テープ(ただし大きい(最低約8cm四方))(アリドネパッチ)
  • GEにはODフィルム(フィルム状の経口薬)、内用液がある。