認知症とは診断されないが、正常とは言えない。
記憶障害はあるが、認知症とは言えない。
MIC(軽度認知障害)というものについて、治療の流れや診断基準について学びましょう。
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- ◯早期に治療介入することで1年で30%程度が正常な状態に戻るとされる。
- ◯一定数認知症へ進行するため治療介入することが望ましい。
- ◯治療薬はAChE阻害薬である。
- ◯記憶以外の高次機能領域で明らかな障害があるタイプがある。そのため診断基準が1:正常と認知症の中間である。2:本人あるいは家族が認める物忘れ。3:日常生活能力は自立あるいは軽度の障害を認める。と曖昧なものとなっている。
- ✕メジャートランキライザーはMCIや認知症など、脳に基質的異常があると副作用として反応しやすい。物忘れがMCIによるものか、その他の機能的疾患によるものかの判断材料にもなる。※興奮状態に対してメジャートランキライザーを使用し、副作用が強かったらMCIの可能性が高まる。
治療の基本
MCIと判断したら、早期からAChE(アセチルコリンエステラーゼ)阻害薬を使用することで認知機能低下を予防することができる。
- ドネペジル(アリセプト)
- ガランタミン(レミニール)
- リバスチグミン(リバスタッチ)
MCI(mild cognitive impairment):軽度認知障害
MCIとは、認知症とは診断されないまでも認知機能が低下し、日常生活に支障をきたしてきた状態です。
MCIと診断した場合に、認知症として治療を進めるのかどうかについて議論が多い病態です。
- 1年で10%程度が認知症へ進行する。
- 1年で30%程度が正常な状態に戻る。(適切な治療を行った場合)
→認知症と異なり、認知機能の回復が期待できる。
タイプ
- 記憶障害を主体とするタイプ
- 複数の高次機能領域にまたがってごく軽微な障害があるタイプ
- 記憶以外の高次機能領域で明らかな障害があるタイプ
の3つの亜型に分けられている。
MCIの診断基準
- 正常と認知症の中間である。
- 本人あるいは家族が認める物忘れ。
- 日常生活能力は自立あるいは軽度の障害を認める。
- 曖昧な診断基準である理由は記憶障害を主体とするタイプ、高次機能障害にまたがっているタイプ、高次機能で明らかな障害があるタイプの3つの亜型があるためである。
- 記憶障害型MCIの80%は6年以内にAD(アルツハイマー)を発症する。
→ADに進行する症例を早期に予測して治療を開始することが望ましい。
MCIの治療
- 生活習慣病の予防
- 運動の実施
- 薬物療法
高血圧や糖尿病はMCI進行のリスクとされる。
AChE阻害薬
- ドネペジル(アリセプト)
- ガランタミン(レミニール)
- リバスチグミン(リバスタッチ)
- AChE阻害薬が有効。
- 中等症のADより、MCIや軽症のADで効果が期待できる。
- 早期から始めることで改善がより長く維持される。
- MCIからADへの進行を遅らせる可能性もある。
治療の注意点
・メジャートランキライザーはMCIや認知症など、脳に基質的異常があると副作用として反応しやすい。
- リスペリドン(リスパダール)やオランザピン(ジプレキサ)、クエチアピン(セロクエル)、アリピプラゾール(エビリファイ)など
- いわゆる抗精神病薬
- 高齢者の興奮状態にメジャートランキライザーを使用する場面がよくある。
- 興奮の原因が認知症の初期のものであると、副作用が生じやすいため注意する。
- まずは抑肝散を使うことで対応する。
- 副作用としては口をもぐもぐさせるジスキネジアなどがある。
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- ◯早期に治療介入することで1年で30%程度が正常な状態に戻るとされる。
- ◯一定数認知症へ進行するため治療介入することが望ましい。
- ◯治療薬はAChE阻害薬である。
- ◯記憶以外の高次機能領域で明らかな障害があるタイプがある。そのため診断基準が1:正常と認知症の中間である。2:本人あるいは家族が認める物忘れ。3:日常生活能力は自立あるいは軽度の障害を認める。と曖昧なものとなっている。
- ✕メジャートランキライザーはMCIや認知症など、脳に基質的異常があると副作用として反応しやすい。物忘れがMCIによるものか、その他の機能的疾患によるものかの判断材料にもなる。※興奮状態に対してメジャートランキライザーを使用し、副作用が強かったらMCIの可能性が高まる。