新規といってもアミティーザなんて発売から10年以上経ちますが、長い便秘薬の歴史から見たら比較的新めの薬剤たちです。
第一選択の酸化Mgを使っても排便が安定しない時、
酸化Mgを使いにくい条件の時(グーフィスの項で話します)、
少し薬価は高いですが使う頻度はかなり多い薬です。
2024.6
- アミティーザ 24μg 1T 100円(2T/日=200円)
- グーフィス 5mg 1T 84円(2T/日=164円)
- リンゼス 0.25mg 1T 69円(2T/日=138円)
- 酸化Mg 500mg 5.7円(3T/日=17.1円)
用法はアミティーザ以外は食前です。飲み方や副作用に気をつけて使いましょう!
b
- ◯アミティーザは粘膜バリアを修復する機能を持ち合わせていることから、PPIを服用しているような(胃が荒れている)状態の投与に適する。酸化MgはPPIとの併用で効果が減弱することから、よりアミティーザの服用を検討できる。
- ✕悪心、嘔気の副作用は若年者や女性に多いとされている。回避する方法として12μg1日2回から開始して、24μgに漸増することで防ぎやすくなる。また、空腹時の服用で生じやすいことから、食後の投与を徹底することと、減量のため1日1回で服用させる場合は食事量の多い夕食後に服用させるとよい。
- ◯蠕動運動を促進させることから糖尿病などの腸の運動機能が落ちている場合に適する。胆汁酸による便意を回復させる効果も期待できる。
- ◯副作用として腹痛がよくみられるが、服用後数日で軽減してくることから、初回で服用を中止してしまわないように指導が大切である。
- ◯リンゼスには大腸痛覚過敏改善作用があるため、腹痛や腹部不快感を改善する作用が期待できるが、食後に服用することで腹痛の副作用も生じうるため食前服用を徹底させる。
まとめ
- アミティーザ←PPIを併用の時に
- グーフィス←便意を回復させる
- リンゼス←腹痛にも効く
アミティーザ 12μg、24μg | グーフィス 5mg | リンゼス 0.25mg | |
用法 | 1日2回朝夕食後 | 1日1回食前 | 1日1回食前 |
用量 | 24μg1回1錠 | 1回2錠 | 1回2錠 |
増減 | 12μg1錠/日-24μg2錠/日 | 1-3錠/日 | 1-2錠/日 |
服用後の 排便時間 | 13h | 5h | 記載なし(72%/24h) |
ルビプロストン(アミティーザ) 12μg、24μg
用法用量:24μg 2T 2× 食後
特徴
薬理作用:Clイオンチャネルアクチベーター
腸管内への水分分泌を促進させて便を軟らかくする。
Clイオンが腸管内に増えると同時に水を引っ張ってくれることで作用する。
- オピオイド服用時にも使用可能。
- 投与直後から効果を発揮する。
- 食後投与であり、他剤と服用しやすい。
グーフィスとリンゼスは食前服用である。
- 粘膜バリアを修復する機能があることから、NSAIDsやPPIを服用している患者に使用しやすい。
酸化MgはPPIとの併用で効果が落ちる。
副作用
悪心、嘔気
- 投与初期に多い(多くは数日で改善する)。
- 若年者や女性で生じやすい。
- 空腹時に悪心、嘔気の副作用が発現しやすいため食後投与を徹底する。(食事量の多い夕方では副作用が発現しにくい)
- 悪心を減らすためには漸増するのが良い。
軽度の便秘であれば1回12μg1日1回から始める。
禁忌
妊婦、腸閉塞
→若い女性には処方しにくい。
動物実験で胎児喪失があった。
使用例
酸化Mgとセンノシドを常用の高齢者にアミティーザの追加処方
- アミティーザは便を軟らかくする点で酸化Mgと似ているが、高Mg血症を起こさない。
- アミティーザを追加後、センノシドと酸化Mgを徐々に減らしていき、最終的にアミティーザとセンノシドの頓用にする。
エロビキシバット(グーフィス) 5mg
用法用量:5mg 2T 1×食前
特徴
薬理作用:胆汁酸トランスポーター(IBAT)阻害
・胆汁酸の体内への再吸収を抑制することで、大腸に流入する胆汁酸の量を増加させる。
・胆汁酸は、大腸で水分および電解質を分泌させ、消化管進動を促進させる。
- 胆汁酸が水分を引っ張って、さらに蠕動運動を活発にする
蠕動運動が弱まっている高齢者に良い適応となる。
- 糖尿病など、腸の運動が落ちている可能性がある患者に、腸の運動を亢進させる作用があるため適する。
- 胆汁酸による便意回復効果も報告されている。
- 胆汁酸吸着作用から副次的なLDL-C低下やHDL-C上昇効果がある。
- 基本的には継続服用推奨、軟便となったら減量や隔日投与を行う
- 排便は服用後5時間(若い人なら蠕動運動が弱っていないので3時間)
夕食前の服用の場合に限り、服用後の排便予想時間は12-14hとなり、朝の排便となるため生活リズムに合わせて服用できる。
- 24時間以内自発排便発現の割合が高い。
- 難治性にも使用できる。
摘便を行なっている患者に対して、2wで摘便回数がかなり減り、4wではさらに回数減少の効果があった。
- 効果不十分なら15mg(3T)に増量。効果強過ぎなら5mg(1T)に減量する。
- 食事をあまり摂れない場合も効果を期待できる。
胆汁分泌が障害されている患者への投与でも効果が得られたデータがある。
飲み忘れた場合
- 一応、食後でも効果は得られるとされるが、
- 食前の服用を忘れた場合は食後までの気づいた時に服用するか、次の食前に服用するどちらでもよい。
副作用
腹痛
- 服用後2~3日は締め付けられるような腹痛があるが数日で良くなる。
禁忌
授乳婦と妊婦
- 体内にはほとんど吸収されない(はずだが)、乳汁中に検出された。
グーフィスか!酸化Mgか!
- 主に薬価の問題から、酸化Mgを常用、効果がなければ次の選択肢として常用(もしくは頓用)でグーフィスを追加する。
- 酸化Mgの使用が限られる場合ではグーフィス常用、酸化Mg頓服で服用することも可能。
酸化Mgの使用を考慮したい例
- 65歳≦
- 酸化Mg1500mg≦
- PPI・活性型VD3との併用
- 定期的にMg濃度の測定ができない
リナクロチド(リンゼス) 0.25mg
用法用量:0.25mg 2錠 1×食前
特徴
薬理作用:グアニル酸シクラーゼC受容体アゴニスト
腸管分泌及び腸管輸送能促進作用並びに大腸痛覚過敏改善作用が、排便異常及び腹痛・腹部不快感を改善する。
- 腹痛の改善効果が認められている。
腹痛を伴う便秘に処方しやすい。
副作用
腹痛
- 食後に服用すると下痢や腹痛を生じやすくなるため、食前に服用する。
ある意味効果が強まるので、この方がいいと自己判断であえて食後に飲んでいる強者もいた。
下痢
- 急激に下痢を生じたり効果の用量反応性が不確実なことがあるため調節が難しい。
問題
b
- ◯アミティーザは粘膜バリアを修復する機能を持ち合わせていることから、PPIを服用しているような(胃が荒れている)状態の投与に適する。酸化MgはPPIとの併用で効果が減弱することから、よりアミティーザの服用を検討できる。
- ✕悪心、嘔気の副作用は若年者や女性に多いとされている。回避する方法として12μg1日2回から開始して、24μgに漸増することで防ぎやすくなる。また、空腹時の服用で生じやすいことから、食後の投与を徹底することと、減量のため1日1回で服用させる場合は食事量の多い夕食後に服用させるとよい。
- ◯蠕動運動を促進させることから糖尿病などの腸の運動機能が落ちている場合に適する。胆汁酸による便意を回復させる効果も期待できる。
- ◯副作用として腹痛がよくみられるが、服用後数日で軽減してくることから、初回で服用を中止してしまわないように指導が大切である。
- ◯リンゼスには大腸痛覚過敏改善作用があるため、腹痛や腹部不快感を改善する作用が期待できるが、食後に服用することで腹痛の副作用も生じうるため食前服用を徹底させる。