新しいデバイスが次々に発売され、使用する機会が増えています。
持続グルコース測定(CGM:continuous glucose monitoring)は1型糖尿病はもちろん。
インスリンを使用している2型糖尿病にも適応が増えました。
デバイス毎の特徴を理解しておきましょう。
持続グルコース測定(CGM:continuous glucose monitoring)
- 1型糖尿病とインスリン注射を行っている2型糖尿病に適応
- 持続的に血糖を測定することで、1日の血糖変動パターンを測定できる
- 間質液のGlu濃度を血糖値に換算する
→5分ほど血糖値から遅れて反映される
→実際の血糖値から誤差が生まれる
30-50ほど血糖値との誤差が生じる場合があり、疑問を感じたら血液から血糖値を測定する。
一覧
- リアルタイムCGM(Dexcom G6) ←補正できるため精度が高い
- 間歇スキャン式CGM(リブレ1)
- リアルタイムCGM(リブレ2) 2023.12発売 ←1分毎の細かい変化を確認できる
- リブレ3 ←小さくて精度が高い(日本で未発売(2024.9現在))
リアルタイムCGM(Dexcom G6)←補正できるため精度が高い
- センサーからスマホにデータを送信し、モニターに常にGlu値が表示される
- インスリンを使用している2型糖尿病にも10日間使用可能(月3回交換可能)
- 腹部(小児は腹部か臀部)に使用
- 2歳から使用可能
- 5分毎に更新される
- 血糖自己測定とずれがある場合には補正することができる
装着後3日連続の補正とその後3日に1回の補正で誤差を最小限にできる
- MARD 9.0%(血糖値で補正すると6%台にまでなるとされている)
mean absolute relative difference:誤差率の絶対値の平均値
- 数値が低ければ誤差が少なく、正確性が高い
10%を切れば優秀
- 血糖値が≦55になると緊急低値アラームで知らせる
サウンドやバイブの設定ができる
- 緊急低値リスクアラートがあり、20分以内に血糖値≦55になることが予想されると通知がくる設定もできる
血糖高値の場合でも設定できる
- アラームやアラートは家族と共有することができる
間歇スキャン式CGM(リブレ1)
- 腕に装着したセンサーにスマホをかざすとGlu値が表示される
8h以上スキャンしないとデータが飛んでしまうので、8h以内毎にスマホをスキャンする
- リアルタイムCGMより以前からあるもので、2型糖尿病に適応があり、14日間使用可能(月2回交換可能)
- 上腕に使用
- 4歳から使用可能
- 1分毎に測定し、15分毎に記録される
→血糖変動が大きい時は遅れて表示される - 1日の血糖値の変動がグラフわかる
- 高血糖や低血糖時のアラート機能はない
- 血糖値の補正機能がない
- 装着後、1日以内と10日以降は誤差が多いので注意(使用は14日以内)
リアルタイムCGM(リブレ2) 2023.12発売←1分毎の細かい変化を確認できる
- 現在の間質液のGlu濃度がリアルタイムに表示される
- 1分毎に更新される
- 低血糖や高血糖によるアラート機能が追加された
設定した数値でアラームを鳴らすことを自分で設定できる
- 血糖値による補正ができない点はリブレ1と変わらない
- その他、使用部位(上腕)や適応年齢(4歳から)などはリブレ1と同じ
リブレ3 海外で発売
- 日本では未承認2024.9現在
- 1円玉サイズ
- MARD7.9%と高精度である
mean absolute relative difference:誤差率の絶対値の平均値
- 数値が低ければ誤差が少なく、正確性が高い
10%を切れば優秀
CGMを使った場合の血糖値の指標であるTIRについて
・TAR(time above range)
Glu値(180)より高値を示す時間の割合 (高いとまずい)
目標:<25%(高リスク:<50%)
・TIR(time in range)
Glu値(70~180)内にある時間の割合 (高いとよい)
1日に占める割合が70%<でHbA1cが7.0%相当
目標:70%<(高リスク:50%<)
・TBR(time below range)
Glu値(70mg/dL)より低値を示す時間の割合 (高いと非常にまずい)
目標:<4%(高リスク:<1%)
- TIR70%<はHbA1c7.0%に相当する。
- 目標としてTIR70%<、TAR1<25%、 TBR1<4%を目指す。
- 高齢者、低血糖や心血管リスクの高いDMではTIR50%<、TAR1は<50%と緩くてもいいので、 TBR1は限界まで少なく<1%を目指す。
TIRの指標とHbA1cの指標の違い
- HbA1cは血糖値の平均をみるだけなので、TIRの方が正確な指標となりうる。
HbA1cは血糖値が極端に高い時と極端に低い時が混在していても、その平均を取るため正常に近い数値となりうる。
- CGMを使った測定ではGluが基準値内にいる割合であるTIRを算出できる。
- また、高齢者などのリスクの高い糖尿病ではGluが低値を示す割合であるTBRは限界まで測定されない方がよい。
→HbA1cは1日のうちで低血糖をどの頻度で生じていたか測定できない。 - インスリン使用中ではこれらの指標(TIRやTBR)を測定するためにもCGMの使用が有用である。