低血糖の副作用が少なく、特にアジア人(日本人を含む)により良い効果があることが知られているDPP-4阻害薬!
9種類の中でどのように使い分ければいいのでしょうか。
腎機能に左右されない方が使いやすいし、1日1回の方が飲み忘れなく使えますね!
それぞれの特徴をみておきましょう!
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- ✕効果が高い臨床像として、ベースラインのHbA1c高値、BMI低値や糖尿病罹病期間が短い、アジア人であることが挙げられる。
- ✕DPP-4阻害薬の重大な副作用の1つに急性膵炎があり、疑われた場合はすぐに服用を中止する。初期症状として上腹部痛・背部痛、発熱、悪心・嘔吐、食欲不振(腹痛は胸膝位で軽減)がある。
- ✕例えばシタグリプチン(ジャヌビア)服用24h後のDPP-4活性阻害率は92%であり、1日1回で十分である。週1服用の薬もあるくらいで、飲み忘れた場合の影響はその他の糖尿病薬と比べて少ない。
- ◯トラゼンタとテネリアは主に胆汁排泄型のDPP-4阻害薬であり、透析も含めて腎機能に応じて減量が必要ない。
- ✕ サキサグリプチン(オングリザ)服用により、心不全の入院頻度が有意に増加したため、処方の際は注意が必要。
DPP4阻害薬
作用機序
・血糖値に依存して食後のインスリン分泌を促進するGLP-1、GIP(インクレチン)を分解するDPP-4の活性を阻害する。
- 血糖依存的にインスリン分泌を促すため、低血糖を起こしにくく、食後高血糖を改善する。
- 単独投与では低血糖のリスクは極めて少ない。
- 体重を増加させにくい。
- 効果が高い可能性がある臨床像として、ベースラインのHbA1c高値、BMI低値や糖尿病罹病期間が短い、アジア人、特にBMI低値の場合に効果がよい可能性が高い。
- 微量アルブミン尿の出現と進行を抑制する。
- 安全性に関して低血糖、感染症や骨折の発症を増加させない。
- 心血管イベントの発症に関して、プラセボに対する非劣性が証明された。
注意点
- 併用するSU薬の用量が多い場合には、安全のため減量する。
- インスリンとの併用により低血糖のリスクが増加するとの報告もある。
安全のため併用の際は、インスリン製剤の減量を検討する必要がある。
- サキサグリプチン(オングリザ)投与群で心不全による入院の頻度が有意に増加していた。
→心疾患があればわざわざ処方しない。
特に65歳以上、罹病歴10年以上あるいはBMI30以上。
- サキサグリプチン(オングリザ)以外のDPP-4阻害薬投与群と対照群で心不全の発症は有意な差を認めなかった。
- シタグリプチン(ジャヌビア)から発癌物質のニトロソアミンが確認されたとの報告があるが、安全性に対するリスクはほとんどないとされている。
副作用
- 急性膵炎の発症を増加させる可能性が示されており注意が必要。
- 水疱性類天疱瘡が発症した報告が散見され、早期の診断と治療が重要。
- 持続的な上腹部痛・背部痛、発熱、悪心・嘔吐、食欲不振(腹痛は胸膝位で軽減)。
- 腹部診察で圧痛、筋性防御、腸雑音低下。
多発する瘙痒を伴う浮腫性紅斑・緊満性水疱・びらん。
・どちらも初期症状で認められたら即中止!
一覧
- アログリプチン(ネシーナ)←比較的強い
- シタグリプチン(ジャヌビア、グラクティブ)←処方患者数が多い
- ビルダグリプチン(エクア)←メトホルミンとの配合錠あり
- リナグリプチン(トラゼンタ)←腎機能低下で用量変更なし
- テネリグリプチン(テネリア)←腎機能低下で用量変更なし
- アナグリプチン(スイニー)←増量できる
- サキサグリプチン(オングリザ)←心不全増加
- トレラグリプチン(ザファテック)←週1回
- オマリグリプチン(マリゼブ)←週1回
使い分け
- ビルダグリプチン(エクア)とアナグリプチン(スイニー)は分2服用。
- 胆汁排泄型のリナグリプチン(トラゼンタ)やテネリグリプチン(テネリア)は薬物動態にさほど影響を受けないため透析を含めて腎機能によって減量が必要ない。
- テネリグリプチン(テネリア)のみOD錠がある。
アログリプチン(ネシーナ)
- 1日1回
- 比較的DPP-4阻害活性が強い。
- メトホルミンとの配合錠(イニシンク)がある。
イニシンクはアログリプチンの用法に合わせて分1の服用だが、これだけだとメトホルミンの用量が500mgと少なめとなってしまう。
シタグリプチン(ジャヌビア、グラクティブ)
- 1日1回
- 24h後のDPP-4活性阻害率は92%であり、1日1回で十分であることがわかる。
- 発癌物質のニトロソアミンが確認されたとの報告があるが、安全性に対するリスクはほとんどないとされている。
- イプラグリフロジン(スーグラ)(SFLT2阻害薬)との配合錠(スージャヌ)がある。
ビルダグリプチン(エクア)
- 1日2回
- 未変化体の腎排泄率が23%であり、腎機能低下による血中濃度の急激な上昇がみられにくい。
中等度以上の腎機能障害で1日1回に減らす。
- 肝機能障害があれば悪化する恐れがあるため避ける。
- メトホルミンとの配合錠(エクメット)がある。
メトホルミンを分2で服用する場合に相性がいい。
リナグリプチン(トラゼンタ)
- 1日1回
- 比較的強いDPP-4への選択性がある。
- 胆汁排泄であるため、腎機能低下で投与量の変更が必要ない(透析も含める)。
- エンパグリフロジン(ジャディアンス)(SGLT2阻害薬)との配合錠(トラディアンス)がある。
SGLT2阻害薬はeGFR<30では効果が期待できず服用させないため合剤を服用させる時は注意が必要。
テネリグリプチン(テネリア)
- 1日1回
- 胆汁排泄であるため、腎機能低下で投与量の変更が必要ない(透析も含める)。
- OD錠がある。
- カナグリフロジン(カナグル)(SGLT2阻害薬)との配合錠(カナリア)がある。
SGLT2阻害薬はeGFR<30では効果が期待できず服用させないため合剤を服用させる時は注意が必要。
アナグリプチン(スイニー)
- 1日2回
- DPP-4の選択性が高い。
- 効果不十分なら増量して使うことができる。(1回1錠→1回2錠に増やせる)
- CCr<30の腎機能障害では1日1回に減らす。
サキサグリプチン(オングリザ)
- 1日1回
- DPP-4からの解離速度が遅く、作用が持続的。
- 心不全による入院の頻度が有意に増加した。
→心疾患があれば処方しない。
特に65歳以上、DM罹病歴10年以上あるいはBMI30以上。
週1回製剤
- 週1回投与製剤は1日1回投与製剤と比較して血糖降下作用に関して非劣性である。
- 副作用の発症頻度に関しても有意な差は認めなかった。
- 1日1回投与製剤から週1回投与製剤への変更は、血糖コントロールを悪化させず、安全性にも問題がなく、利便性や融通性に優れている。
トレラグリプチン(ザファテック)
オマリグリプチン(マリゼブ)
- 肝臓での代謝をほとんど受けない。
問題
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- ✕効果が高い臨床像として、ベースラインのHbA1c高値、BMI低値や糖尿病罹病期間が短い、アジア人であることが挙げられる。
- ✕DPP-4阻害薬の重大な副作用の1つに急性膵炎があり、疑われた場合はすぐに服用を中止する。初期症状として上腹部痛・背部痛、発熱、悪心・嘔吐、食欲不振(腹痛は胸膝位で軽減)がある。
- ✕例えばシタグリプチン(ジャヌビア)服用24h後のDPP-4活性阻害率は92%であり、1日1回で十分である。週1服用の薬もあるくらいで、飲み忘れた場合の影響はその他の糖尿病薬と比べて少ない。
- ◯トラゼンタとテネリアは主に胆汁排泄型のDPP-4阻害薬であり、透析も含めて腎機能に応じて減量が必要ない。
- ✕ サキサグリプチン(オングリザ)服用により、心不全の入院頻度が有意に増加したため、処方の際は注意が必要。