SU薬、グリニドは主に食後の高血糖下げる作用目的で使用します。
SU薬は昔から存在するためエビデンスレベルが高い、グリニド(レパグリニド・ミチグリニドに限る)は透析患者にも使用できる。
これらの薬はメトホルミンやSGLT2阻害薬、DPP-4阻害薬、GLP-1作動薬の検討後に
第3選択でよく使用されます。
新しく処方する時、服用薬を見直す時、
特徴や薬剤毎の違いを調べたい時に使ってください!
SU薬
作用機序
・膵臓のβ細胞を刺激してインスリン分泌を促進させる。
- 空腹時血糖値も食後血糖値も低下させる。
- 長期間臨床の場で使用されていてエビデンスが多い(昔からある薬)。
- 細小血管障害抑制のエビデンスもある。
基本的に最小血管障害の抑制に関しては、薬剤差よりも血糖コントロールが重要視されている。
- 早期からSU薬を用いて血糖コントロールを行えば大血管症を抑制する。
- 用法は食前または食後投与。
→食前投与は食後の血糖値を下げるが、食事ができないと困るため、食直前または食直後の服用が多い。
食前投与とは食事の30分前をさす。食直前は5分前をさす。
注意点
- インスリン分泌の保たれている患者では効果を発揮しやすいが、その反面、低血糖を起こしやすい。
- 使用の長期化などによって大血管症が起こりやすくなる可能性も指摘されているため注意が必要。
- インスリン製剤による低血糖よりも頻度が高く、遷延化しやすい。
ブドウ糖で一時的に回復しても再度低血糖を起こしうる。
- 飲み忘れに食後1時間以上経過してから気づいたら、忘れた分は服用しない。
- 食事療法、運動療法がおろそかになると体重増加が起こりやすい。
ピオグリタゾン(アクトス)でも同じ。
良い適応
- 糖尿病と診断されたばかりの患者
- 空腹時Cペプチド値が保たれている患者←インスリンが出ているということ。
- インスリン治療歴のない患者
悪い適応
- 高度の肥満などインスリン抵抗性が強い患者(肥満体型)にはよい適応ではない。
SU薬と体重の例
・SU薬にメトホルミンを併用すると、体重を2.7 kg減らすことができた。
・SU薬に比べるとGLP-1作動薬は体重を2.7 kg減少させる。
体重減少の観点においてSU薬はGLP-1作動薬に劣る。
一覧
- グリクラジド(グリミクロン)←糖尿病網膜症の進展抑制を期待
- グリメピリド(アマリール)←低血糖を起こしにくい
- グリベンクラミド(オイグルコン)←今はあまり使わない
使い分け
グリクラジド(グリミクロン)
- 血小板機能抑制、抗血栓作用があり、糖尿病網膜症の進展抑制が期待できる。
非増殖網膜症から増殖網膜症に移行した症例数が少なくなった。
- 代謝物に活性がないため、低血糖遷延化のリスクは低い。
グリメピリド(アマリール)
- インスリン分泌作用が弱いが、肝臓での糖放出抑制やインスリン抵抗性改善作用によって他のSU剤と同等の血糖降下作用があり、低血糖や体重増加が少ない。
- インスリン分泌作用がグリベンクラミドよりも弱く、夜間低血糖を起こしにくい。
グリベンクラミド(オイグルコン)
- インスリン分泌作用は強力である。
- 7.5mg/日まで増量しても効果がなければ、さらに増量しても効果は期待できない。
- 代謝物が活性を持ち、低血糖が遷延化しやすい。
- グリクラジドやグリメピリドと比較して心血管死が多い。
→グリクラジドやグリメピリドよりも処方を避けられることが多い。
心筋のKチャネルを遮断し、心筋梗塞後の心筋保護機構を邪魔するため心臓へのダメージが増す。
- 過量投与もしくは腎機能低下例への使用は何としても避けたい。
グリニド
作用機序
・膵臓のβ細胞を刺激してインスリン分泌を促進させる(SU薬よりも早くて短い)。
- 15分で作用し始め、3hで消失する。
作用時間がダラダラと長く空腹時低血糖を起こしやすいSU剤と異なる。
- 食直前に服用し、健常人に近い瞬時のスパイク状のインスリン分泌パターンを示す。
- 増量によりSU薬と同等のHbA1c低下効果を示す。
- レパグリニドが最も強く、ナテグリニドとミチグリニドが同等の効果を示す。
注意点
- SU剤を長期で服用していた場合、グリニドに変更すると効果は期待できない。
- 吸収速度が遅延して食後の血糖値に影響するため、食事中に気づいても服用しない。
- 腎機能低下患者には全て少量から投与する。
- 透析患者にはナテグリニドは禁忌、レパグリニドとミチグリニドは慎重投与。
一覧
- レパグリニド(シュアポスト)←作用が強い
- ナテグリニド(スターシス、ファスティック)←透析患者に禁忌
- ミチグリニド(グルファスト)(+ボグリボース=グルベス配合錠)←作用が早い
使い分け
レパグリニド(シュアポスト)
- 最も血糖効果作用が強いが、低血糖や体重増加も多い。
- CYP2C8と3A4で代謝される。
→この2つを同時に阻害してはいけない(例:レパグリニドとクロピドグレル服用中にクラリスロマイシンを追加はOut)。
クロピドグレルが2C8、クラリスロマイシンが3A4を阻害するため併用注意。
ナテグリニド(スターシス、ファスティック)
- ミチグリニドと同等の効果を示す。
- 透析患者に禁忌。
尿中未変化体排泄率5%にも関わらず、代謝物が尿中排泄率80%であるため。
ミチグリニド(グルファスト)(+ボグリボース=グルベス配合錠)
- 最も早く血中濃度が上がる。
15分でCmaxとなる。
- ナテグリニドと同等の効果を示す。
- 肝消失である。
→腎機能低下者に少量から投与できる。
透析患者には1日1-2錠で使用する。
- 同じ食直前に服用するボグリボースとの配合錠(グルベス配合錠)がある。
ボグリボース(ベイスン):α-グルコシダーゼ阻害薬