ほとんどの人が経験しているニキビ。
治したいしできたくない。
予防にも治療にも使えるアダパレンやべピオが出てから10年ほど経ちニキビの治療の中心となってきました。
が、
きちんと使えずに治療が中断になってしまうなどもったいないことも多々あります。
アダパレンとべピオは予防にも治療にも使えます!抗生剤は治療のみで、予防には使えません!
では、その他の注意点は?
正しい使い方で続けて欲しい!
適切な治療について学んでいきましょう!
b
- ◯アダパレンやべピオは白、黒、赤、黄ニキビにも効果がある他、毛穴の詰まりを解消し、耐性菌は発生しないことから、ニキビが治ってからも長期に予防として使用していく。
- ✕使用開始1ヶ月以内に赤みやヒリヒリ感が生じやすい。その場合は中止をするのではなく、①保湿剤と重ねて使用する②少ない量で続ける③洗い流すを行い、徐々に慣れさせる。ニキビの治療は続けることに大きな意味がある。ただし、使用者の3%で生じる接触性皮膚炎(強い赤み)となったら中止する。
- ◯アダパレンとべピオの違いとして、べピオでは胸や背中のニキビにも使用できる。妊娠・授乳中にも注意すれば使用可能。髪や衣類の脱色に注意。冷蔵庫に保存がある。
- ◯デュアック(過酸化ベンゾイル(べピオ)・クリンダマイシン)はべピオと抗生剤の配合薬。3ヶ月使用する点やヒリヒリ感が生じたら徐々に慣れさせる点などべピオの注意点と共通することが多い。※クリンダマイシン(ダラシン)外用単剤は抗生剤の外用として、赤・黄ニキビに使用して、治ったら中止する。
- ◯外用の抗生剤は、毛穴が詰まった後の繁殖したアクネ菌を抑えるために炎症を起こしている赤ニキビや膿んでいる黄ニキビに使用する。耐性菌ができる可能性があるため、長期では使用せず、ニキビにピンポイントで使う。よく使われる外用の抗生剤にダラシン、アクアチム、ゼビアックスがあるが、どれがよく効くというデータはない。
基本の治療
・白ニキビ、黒ニキビにはアダパレン(ディフェリン)や過酸化ベンゾイル(べピオ)を使う。
・赤ニキビ、黄ニキビにはアダパレンやべピオに加えて抗生剤外用を使う。
白、黒、赤、黄
ニキビが
できる流れ
ニキビ治療の
イメージ
マルホ ニキビ治療のポイント より
基本の薬
アダパレン(ディフェリン)・過酸化ベンゾイル(べピオ)共通
- 白、黒、赤、黄ニキビに効果がある。
- 抗炎症作用とピーリング作用(角質除去)があるため、炎症が収まった後のニキビ跡にも効果がある。
- ニキビの元となる毛穴の詰まりを解消してくれる→毛穴の詰まりにも塗布する。
- 耐性菌の発生が報告されておらず、長期で使用できる。
- ニキビに点で塗るのではなく、顔全体に面として塗り広げる。
- 1FTUで顔全体の量、1ヶ月で1本を使いきる。
- 塗った後は必ず手を洗う。
- 効果を実感するために最低3ヶ月の継続的な使用をする。
- 洗顔後、顔全体に夜に塗る。
- 目の周りや口の周り、じゅくじゅくしたニキビには塗らない。
- 1ヶ月続けると刺激(副作用)を感じる頻度は減ってくる。
- 3%で接触性皮膚炎を生じる→中止する。
- 使用中は紫外線に敏感になるため、日中は紫外線対策をしっかり行うことが重要。
使用後の刺激感を減らすためにできること
①保湿剤と重ねて外用する。
②使い始めは少ない量や狭い範囲から始めて、徐々に塗る量と範囲を広げていく。
③塗って刺激を感じたら洗い流してしまう。
アダパレン(ディフェリン)
- 顔のみに使用可能(背中ニキビには使用できない)。
- 妊娠・授乳中には使用できない。
過酸化ベンゾイル(べピオ)
- 欧米では60年以上前から使用されている。
- 胸や背中にも使用可能。
- 妊娠・授乳中にも注意すれば使用可能。
- 脱色に注意→眉毛や髪の毛、枕カバーなどは白いものにする。
- 保存は25℃以下(冷蔵庫に保存)。
- 37%が副作用を感じた。
エピデュオ(アダパレン・過酸化べンゾイル配合ゲル(べピオ))
- アダパレンとべピオの配合。
- アダパレンとべピオの単剤と配合濃度は同じ。
- 長期で使用していく。
- 3ヶ月使用すると、アダパレンとべピオを単体で使うよりも改善効果が高かった。
- 効果は高いが副作用も強く、8割が途中で治療を中断してしまう。
- 刺激感が強いので、最初は少ない用量で始めるとよい。
- ニキビ痕といわれる炎症後色素沈着や瘢痕に対して弱いながらも改善効果はある。
- ニキビ痕に対してはレーザー治療と並行して使用するとよい。
- 1FTUで顔全体をカバーできる。
デュアック(過酸化べンゾイル配合ゲル(べピオ)・クリンダマイシン)
- べピオと抗生剤の配合の塗り薬。
- 赤いボツボツが多い人には第一選択となるが最初の1ヶ月は赤みが出やすいので注意。
- 3ヶ月使用する点など基本的にべピオと同じ。
- べピオの注意点と同じ(ヒリヒリ感が生じたら洗い流して徐々に慣れさせる点など)。
- 過酸化ベンゾイル3%で、べピオの2.5%よりも濃い。
- 口径が小さいため、2FTUで顔全体の量となる。
抗生剤外用
- 繁殖してしまったアクネ菌を抑えるために使用する。
→炎症を起こしてしまっている赤ニキビや膿んでいる黄ニキビに使用する。
→顔全体ではなくニキビにピンポイントで使用する。 - 耐性菌ができる可能性があるため、長期では使用しない。
- 4wの使用で効果がない場合は中止する。
- ダラシン、アクアチム、ゼビアックスのどれがよく効くというデータはない。
- 薬を塗る順番は、洗顔→保湿剤→アダパレン(べピオ)→抗生剤。
- ダラシンはリンコマイシン系で、アクアチムとゼビアックスはキノロン系。
→効果がなかった場合にもう一方への変更で効果が出る例がある。
クリンダマイシン(ダラシン) :ゲル・ローション
- ゲル剤があり、塗り感を好む人がいる。
- 炎症性皮疹(丘疹・膿疱)の有意な減少が認められている。
- 有害事象としては乾燥や灼熱感がみられたが、いずれも軽微なものである。
ナジフロキサシン(アクアチム) :軟膏・Cr・ローション
- 炎症性皮疹数に関して有意な減少がみられている。
- 有害事象としては3~15%の頻度で掻痒、紅斑、乾燥、剥離、灼熱感、つっぱり感がみられたが、いずれも軽微なものである。
オゼノキサシン(ゼビアックス) :油性Cr・ローション
- 副作用が出にくい。
- 肌の乾燥1.1%、かゆみ1.1%。
- 1ヶ月の使用で36%のニキビが減少した。
中等症から重症のニキビ
①アダパレンorべピオ+内服抗菌薬。
②エピデュオ+内服抗菌薬。
※
アダパレン(ディフェリン)
過酸化ベンゾイル(べピオ)
アダパレン・過酸化ベンゾイル(エピデュオ)
①アダパレンやべピオと内服抗菌薬の併用
3つに振り分けられた臨床試験の結果。
ⅰアダパレンとファロペネム(600mg/日)を4w併用。
ⅱアダパレンとファロペネムを2w併用。
ⅲアダパレン単独の比較。
→ⅰアダパレンとファロペネムの4w併用がより良く改善させた。
②エピデュオと内服抗菌薬の併用
エピデュオ:アダパレン・過酸化べンゾイル配合ゲル(べピオ)配合剤
- エピデュオとドキシサイクリン(100mg/日)の併用は2wから改善率に有意差を認めた。
- 併用群(エピデュオ+ドキシサイクリン)は単独治療群(エピデュオorドキシサイクリン)と比較して2~4wにかけて有意に改善を示した。
- この差は12w持続し、かつ、拡大した。
内服の抗菌薬
推奨度
- A:ドキシサイクリン
- A*:ミノサイクリン
- B:ロキシスロマイシン、ファロペネム
- C1:テトラサイクリン、エリスロマイシン、クラリスマイシン、レボフロキサシン
A:行うよう強く推奨する(少なくとも1つの有効性を示すレベルIもしくは良質のレベルIIのエビデンスがある)。
A*:行うよう推奨する(Aに相当する有効性のエビデンスがあるが、副作用などを考慮すると推奨度が劣る)。
B:行うよう推奨する(少なくとも1つ以上の有効性を示す質の劣るレベルIIか良質のレベル IIIあるいは非常に良質のIVのエビデンスがある)。
C1:選択肢の一つとして推奨する(質の劣るIII〜IV,良質な複数のV、あるいは委員会が認める VIのエビデンスがある)。
C2:十分な根拠がないので(現時点では)推奨しない(有効のエビデンスがない、あるいは無効であるエビデンスがある)。
D:行わないよう推奨する(無効あるいは有害であることを示す良質のエビデンスがある)。
・痤瘡の炎症には、アクネ菌の増殖が重要な役割を演じている。
・感受性に加えて抗炎症効果を期待して、テトラサイクリン系やマクロライド系を使う。
・耐性菌の出現を防ぐため長期間の使用は控える方がよい。
・内服抗菌薬の投与は3ヶ月までとし、6~8wに再評価して継続の可否を判断する。
・内服抗菌薬の単独療法や外用抗菌薬との併用は避ける。
・アダパレンやべピオと併用を推奨する。
ドキシサイクリン(ビブラマイシン) 推奨度A
- テトラサイクリン系の薬剤で、抗菌作用とともに抗炎症作用が期待される。
- 副作用は光線過敏症があるが、中止により軽快し、腹痛や頭痛などの軽微なものである。
- 海外のガイドラインでは、ミノサイクリンよりも推奨されている。
ミノサイクリン(ミノマイシン) 推奨度A*
- テトラサイクリン系の薬剤で、リパーゼ活性抑制、白血球遊走抑制、活性酸素抑制作用がある。
- ドキシサイクリンと比較して、めまいや色素沈着などの副作用の頻度が高い。
- 自己免疫疾患、薬剤性過敏症症候群などの重篤な副作用がある。
ロキシスロマイシン(ルリッド) 推奨度B
- 14員環マクロライドで、エリスロマイシンと比較して吸収、体内動態が改善されている。
- ニキビに適応を持つ。
- ミノサイクリンやファロペネムと比較してニキビの減少に有意差がない。
- いずれの臨床試験でも副作用は軽微なものであった。
ファロペネム(ファロム) 推奨度B
- ミノサイクリン、ロキシスロマイシン、ファロペネムの4wの内服では、ニキビは有意に減少し、3群間で有意差はなかった。
- アダパレンにファロペネムを併用すると、アダパレン単独と比較し有効性があった。
その他の治療法
ビタミン剤 推奨度C2
- ビタミンAは毛包表皮の角化を抑制
- ビタミンB2とビタミンB6は皮脂分泌を抑制
- ビタミンE は過酸化脂質を抑制
しかし、各々のビタミン薬内服の有効性を確立するための臨床試験は行われていない。
→内服を行ってもよいが、推奨はしない。
1日2回の洗顔 推奨度C1
- 1日2回の洗顔を1日1回にしたことで悪化が見られた。
- 1日4回の洗顔を行った群では脱落がみられた。
- オイルクレンジングは、安全に使用できるメイク落しの一つである。
- 洗浄剤の成分にスクラブ(角層を剥がす粒子)が入っていても有意差はなく、有効性は確立されていない。
イブプロフェンピコノールCr(スタデルムCr) 推奨度C1
- 炎症性、初期のニキビの選択肢の一つとして推奨される。
- 基剤(プラセボ)と比較し、3週以降に改善度の有意差を認め、4週後の有用率は、イブプロフェンCr群では66%,プラセボ群 33%であった。
- 外用抗菌薬との比較が行われていない。
✕ステロイド外用薬 推奨度C2(推奨しない)
- 一時的に炎症を止める効果が期待されるが、ステロイド外用薬が痤瘡を誘発することはよく知られている。
- 長期間のステロイド外用は、その他の副作用の点から明らかに好ましくない。
- 短期間の使用の可否についても十分なエビデンスの確立までは推奨できない。
しこりニキビ
- 皮膚の深くに硬くて痛いしこりができているニキビ。
- 外用の抗菌薬のでは薬が届かないため、内服の抗菌薬を使用する。
ニキビの肥厚性搬痕
トラニラスト(リザベン) 推奨度C2
- 肥満細胞からのケミカルメディエーターの産生を抑制し、炎症細胞からのTGF-B1の産生を抑制する。
- ケロイドや肥厚性瘢痕の治療に保険適応がある。
- ニキビの肥厚性療痕に対しても使用されるが、臨床試験は行われていないため十分な根拠はない。
- 行ってもよいが、推奨はしない。
ステロイド局所注射 推奨度C1
- ケロイドや肥厚性瘢痕の治療法として確立している。
- 冷凍凝固療法とステロイド局所注射が同等の有効性を示した。
- ニキビの肥厚性搬痕に対する選択肢の一つとして推奨する。
- 冷凍凝固療法については行っても良いが、推奨はしない。
問題
b
- ◯アダパレンやべピオは白、黒、赤、黄ニキビにも効果がある他、毛穴の詰まりを解消し、耐性菌は発生しないことから、ニキビが治ってからも長期に予防として使用していく。
- ✕使用開始1ヶ月以内に赤みやヒリヒリ感が生じやすい。その場合は中止をするのではなく、①保湿剤と重ねて使用する②少ない量で続ける③洗い流すを行い、徐々に慣れさせる。ニキビの治療は続けることに大きな意味がある。ただし、使用者の3%で生じる接触性皮膚炎(強い赤み)となったら中止する。
- ◯アダパレンとべピオの違いとして、べピオでは胸や背中のニキビにも使用できる。妊娠・授乳中にも注意すれば使用可能。髪や衣類の脱色に注意。冷蔵庫に保存がある。
- ◯デュアック(過酸化ベンゾイル(べピオ)・クリンダマイシン)はべピオと抗生剤の配合薬。3ヶ月使用する点やヒリヒリ感が生じたら徐々に慣れさせる点などべピオの注意点と共通することが多い。※クリンダマイシン(ダラシン)外用単剤は抗生剤の外用として、赤・黄ニキビに使用して、治ったら中止する。
- ◯外用の抗生剤は、毛穴が詰まった後の繁殖したアクネ菌を抑えるために炎症を起こしている赤ニキビや膿んでいる黄ニキビに使用する。耐性菌ができる可能性があるため、長期では使用せず、ニキビにピンポイントで使う。よく使われる外用の抗生剤にダラシン、アクアチム、ゼビアックスがあるが、どれがよく効くというデータはない。