高血圧:薬

【高血圧 薬】利尿薬とは!使い分けと特徴!実は浮腫みを取るのはループだけ?

高血圧:薬

ループ利尿薬・サイアザイド系利尿薬・MR拮抗薬(K保持性利尿薬)・利尿薬利尿薬利尿薬、、、

利尿薬と名のつく薬はたくさんあります。

でも見るのはいつでもフロセミド

実は浮腫みを取ることを主とする利尿薬は意外と少ないのです。

フロセミドばかりじゃない!
他にもある利尿薬を使いこなしましょう!

問題

正しいものを1つ選べ。

a:フロセミドの利尿効果は強く、高K血症の副作用に注意

b:慢性心不全などの慢性疾患に対する利尿はアゾセミド(ダイアート)が適する。

c:インダパミド(ナトリックス)は糖尿病に禁忌である。

d:エサキセレノン(ミネブロ)は女性化乳房の副作用がある。

e: フィネレノン(ケレンディア)は糖尿病患者の浮腫みに頓服で使用する。

フロセミド、アゾセミドはループ利尿薬。ナトリックスはサイアザイド類似薬。ミネブロ、ケレンディアはMR拮抗薬(K保持性利尿薬)。

ループ利尿薬

ループ利尿薬一覧

  1. フロセミド(ラシックス)※
  2. アゾセミド(ダイアート)※
  3. トラセミド(ルプラック)※

体重が2.5%増えたら服用3%の減少もしくは血圧≦110で中止する。

・利尿作用の強さの割に降圧作用は弱い。
→高血圧に対して積極的な使用はしない。

ループ利尿薬の種類と特徴:薬剤ごと

フロセミド(ラシックス)

浮腫改善効果は1番強い

・効果は短時間であり、6時間程度作用する。

・近位尿細管と遠位尿細管でもNaの再吸収を抑制する。

アゾセミド(ダイアート)

1日利尿効果が続く

・電解質の変化がフロセミドよりは少ない。

トラセミド(ルプラック)

Kの低下が少ない(最も電解質の変化が少ない)。

今ある浮腫やうっ血を改善したい
→フロセミド

慢性心不全などで長時間の利尿作用が必要
→アゾセミド

Kの低下が見られた
→トラセミド

サイアザイド系利尿薬

サイアザイド系利尿薬一覧

サイアザイド系:

①ヒドロクロロチアジド(単剤ではヒドロクロロチアジド錠やテルミサルタンとの配合錠(ミコンビ)などのみ)※
②トリクロルメチアジド(フルイトラン)※

サイアザイド類似薬:

③インダパミド(ナトリックス)※
→Kの排泄がサイアザイド系よりも少ない。

サイアザイド系利尿薬の特徴

・体液量の減少はRA系を亢進させ、近位尿細管でのNa再吸収を促す。
→同時に水やCa、尿酸の再吸収も促進される。

血中Ca値の増加や尿酸の増加となる原因。

・インスリン感受性を低下させ、高血糖になりやすい。

利尿効果はループ利尿薬の2割程度である。

浮腫改善効果としてはループ利尿薬に劣る。

・サイアザイド系とサイアザイド類似薬で脳卒中予防効果は同じだが、心血管イベント抑制効果は類似薬のインダパミドが勝る

インダパミドの直接的血管拡張作用と活性酸素消去作用が関係しているとされる。

・Naの排泄効果が高く、塩分過剰の高血圧患者に対して効果的に使用できる。
→代償的にRA系を促進させるため、RA系阻害薬(ACE阻害薬/ARB)と相乗効果が得られる

・脂質や糖代謝の悪化の副作用はα1遮断薬の併用が効果的である

β遮断薬の併用では悪化する

サイアザイド系利尿薬の注意点

・Naの排泄作用であり、水だけを摂取すると低Naとなる。

・通常量の1/4-1/2の低用量なら降圧効果の大きな減弱なく代謝系の副作用リスクを最小化できる。

増量しても降圧効果はそれほど強くならないが、低Naや高Kの副作用はしっかり増える。

・高用量で耐糖能異常をもたらすため、以前はDMに対して避けられていた。

現在は低用量での使用で耐糖能異常をきたさないよう使用している。

・本来、この薬は減塩できれば不要である。

・配食サービスや入院によって減塩食を取るようになれば必要なくなる。
・管理された減塩食で服用を続けると低Naのリスクがある。
🤔

僕が高血圧になったら頓服でサイアザイド系を飲みたい!
ラーメンを罪悪感なく食べる😛
トイレの回数が増えるのが辛いかも😅

サイアザイド系利尿薬の種類と特徴:薬剤ごと

インダパミド(ナトリックス)

・加齢に伴いNa排泄機能が低下し、食塩感受性が高まる。
→高齢者の高血圧に対してはサイアザイド系や、その類似薬のインダパミドでNa排泄を促すことでスムーズな降圧が得られることが多い。

・サイアザイド系やインダパミドは小柄な高齢者では低Naを来しやすい。

→定期的な血液検査を行う。

真水を取りすぎると低Na血症になりやすい。

MR(ミネラルコルチコイド)拮抗薬(カリウム保持性利尿薬)

MR拮抗薬(カリウム保持性利尿薬)一覧

  1. スピロノラクトン(アルダクトン)
  2. エプレレノン(セララ)
  3. エサキセレノン(ミネブロ)(高血圧に対して)
  4. フィネレノン(ケレンディア)(DM腎症に対して)

MR拮抗薬(カリウム保持性利尿薬)の特徴

・利尿効果があるのは実はスピロノラクトン(アルダクトン)のみ。

エプレレノン(セララ)、エサキセレノン(ミネブロ)、フィネレノン(ケレンディア)に利尿効果はない。

MR拮抗薬(カリウム保持性利尿薬)の種類と特徴:薬剤ごと

スピロノラクトン(アルダクトン)

・女性化乳房を起こしやすい。

エプレレノン(セララ)

・スピロノラクトンよりは女性化乳房が少ない。

禁忌:CCr 50ml/分未満や、微量Alb・蛋白尿を伴うDM

エサキセレノン:ミネブロ

適応:高血圧のみ

・ステロイド骨格をもたないため、女性化乳房や月経異常の副作用はない

・K値に注意→投与開始前、投与後1ヶ月で血清K値を測定する。

・中等度腎機能障害は1.25mg錠から徐々に増量する。

禁忌:K値5mEq/L以上、重度の腎機能障害(eGFR 30ml未満)

副作用:尿酸値増加(1%)

フィネレノン(ケレンディア)

適応:2型糖尿病を合併する慢性腎不全のみ

・MR(ミネラルコルチコイド)の過剰活性が心血管、腎障害を引き起こす。
→ケレンディアは抗MR作用で心血管、腎臓障害を抑制する。

eGFRが60以下の場合は10mg(少量)から開始する。

K値、eGFR値で異常がなければ4週間後を目安に20mgへ増量する。

禁忌:K値5.5以上

副作用:K値上昇

K値4.8以下の患者に開始
服用中でK値4.8〜5.5になったら用量維持で経過観察

・10mg錠と20mg錠の生物学的同等性は示されていないため20mgを投与する場合は10mgを2錠で使用できない。

MR拮抗薬(カリウム保持性利尿薬)の禁忌と使い方まとめ

  • スピロノラクトン:高K血症(全てに共通)
  • エプレレノン:CCr 50ml/分未満や、微量Alb・蛋白尿を伴うDM
  • エサキセレノン:eGFR 30ml未満の重度の腎障害
  • フィネレノン:末期腎不全や透析患者は適応外

eGFR 50未満
→スピロノラクトン

高血圧で腎機能が悪くない
→エプレレノン

高血圧に対してエサキセレノンから始めることも多いが
eGFR 30未満になった
→スピノロラクトン
DMを合併している
→フィネレノン

問題

問題

正しいものを1つ選べ。

a:フロセミドの利尿効果は強く、高K血症の副作用に注意する。

b:慢性心不全などの慢性疾患に対する利尿はアゾセミド(ダイアート)が適する。

c:インダパミド(ナトリックス)は糖尿病に禁忌である。

d:エサキセレノン(ミネブロ)は女性化乳房の副作用がある。

e: フィネレノン(ケレンディア)は糖尿病患者の浮腫みに頓服で使用する。

フロセミド、アゾセミドはループ利尿薬。ナトリックスはサイアザイド類似薬。ミネブロ、ケレンディアはMR拮抗薬(K保持性利尿薬)。