降圧薬として最も多く処方されているのはアムロジピンです。
Ca拮抗薬の副作用として頻度の多い浮腫みがあります。
ではアムロジピンで浮腫みが生じたら中止になるのでしょうか?利尿薬で対応するのでしょうか?
同じCa拮抗薬でも浮腫みが生じにくいベニジピンへの変更や、心臓に作用しやすいCa拮抗薬であるジルチアゼム、ベラパミルへ変更の選択肢があります。
この場合の浮腫みは利尿薬では解消されにくいです。
降圧薬として効果の高いCa拮抗薬!
浮腫みが出たら中止じゃもったいない!
Ca拮抗薬について詳しく見ていきましょう。
Ca拮抗薬一覧
主に血圧に作用するCa拮抗薬
- アムロジピン(アムロジン)※
- ニフェジピン(アダラート)※
- シルニジピン(アテレック)※
- ベニジピン(コニール)※
- アゼルニジピン(カルブロック)※
↑純粋に血圧を下げる効果としてはとても有用
主に心臓に作用するCa拮抗薬
- ジルチアゼム(ヘルベッサー)※
- ベラパミル(ワソラン)※
血管への作用はジルチアゼム>ベラパミル
心臓への作用はジルチアゼム<ベラパミル
を考慮して選ぶ。
Ca拮抗薬の種類と特徴(総論)
・CaチャネルにはL型、T型、N型チャネルと大きく3種類あり、作用が異なります。
・L型は基本の血管拡張作用、T型とN型は心拍数を低下させ、腎保護作用を示す。
・Ca拮抗薬もどのチャネルに作用するかで微妙に狙いが異なってくる。
ざっくり違いを見ていきましょう。
L型Ca拮抗薬の表
アムロジピン (アムロジン) | ニフェジピン (アダラート) | シルニジピン (アテレック) | ベニジピン (コニール) | アゼルニジピン (カルブロック) | |
Caチャネル | L | L | L、N | L、T、N | L、T |
半減期(約h) | 35 | 8 | 8 | 4 | 19 |
特徴 | 半減期長い | 即効性あり 降圧効果強い | 頻脈が起きにくい | 浮腫が少ない | 心拍数の増加抑制効果がある |
- L型:血管拡張
- T型:洞結節や副腎に存在→心拍数低下、Naや水分の排泄促進、心筋保護作用
- N型:交感神経抑制に伴う心拍数低下、血圧低下
Ca拮抗薬の種類と特徴:薬剤ごと
アムロジピン(アムロジン)
・半減期が長い(36h)ため1ヶ月程度かけて血圧は安定する。
ニフェジピン(アダラート)
・降圧作用の面ではかなり強い。
・即効性があり、80mgの高用量で処方できるので最後の砦となる。
・ただし浮腫やほてり、頭痛、動悸が発現する可能性もあるので要注意する。
シルニジピン(アテレック)
・N型チャネルにも作用する。
・頻脈が起きにくい
ベニジピン(コニール)
・T型とN型チャネルにも作用する。
・浮腫みが生じにくい
アゼルニジピン(カルブロック)
・T型チャネルにも作用する。
・心拍数の増加抑制効果がある。
その他のCa拮抗薬としてジルチアゼム、ベラパミルがある。
ジルチアゼム(ヘルベッサー)・ベラパミル(ワソラン)
・前述のCa拮抗薬と異なり、降圧効果は弱いが頻脈を抑える効果は強い(この効果はジルチアゼム<ベラパミルとなる)。
・血圧コントロールが難しい・狭心症
→ニフェジピン(降圧効果が強い)
・CKD(慢性腎臓病)
→RA系阻害薬に追加でシルニジピン(ベニジピン、アゼルニジピン)(N型やT型は腎保護作用を期待できる)
・冠攣縮性狭心症、他のCa拮抗薬で浮腫を生じた
→ベニジピン
・頻脈に対してβ遮断薬を使うが、高齢で呼吸器疾患があると使いにくい
→ジルチアゼム・ベラパミル
特徴を捉えると同じCa拮抗薬でも処方の際に考えやすく、処方意図を理解しやすい。
こんな応用例も
狭心症を合併した高血圧患者でニフェジピンを服用していたが浮腫で継続が難しい
→ジルチアゼムに変更する
モーニングサージタイプの高血圧
→アムロジピン錠2.5mg 朝食後、アムロジピン錠5mg就寢前
Ca拮抗薬による副作用
・浮腫(頻度多い)(ベニジピンは少なめ)、頻脈(動脈圧受容器反射による)。
・歯肉増殖(歯茎の腫れ)は服用中止の原因になる。
・便秘は頻発する。
・高Ca血症を惹起することがある。
Ca拮抗薬の注意点
・降圧作用が強いため、血圧が下がりやすく脱水となりやすい夏場にはCa拮抗薬を減量を検討する。
・高齢者にCa拮抗薬が推奨される。
・浮腫や歯肉肥厚は低用量から開始することで回避できる場合がある。
・下肢浮腫が起こるが、体液量が増加しているわけではない→ループ利尿薬による浮腫改善効果は期待できない。
・浮腫に対して降圧効果との効果を期待してサイアザイドを使用することがあるが、その場合は処方カスケードとなる。
・急な低血圧にクラリスロマイシンの併用を疑う。
急激な血圧の低下により急性腎障害にもなりうる。
Ca拮抗薬と併用薬の使い方
・塩分摂取量の多い患者は利尿薬併用で著効する。
・ACE阻害薬・ARBとNSAIDsの併用で急性腎不全のリスク大
→NSAIDsからアセトアミノフェンへの変更を考慮する。