高血圧高血圧:薬

【高血圧 薬】Ca拮抗薬とは!使い分けと特徴!浮腫みが出たら中止じゃもったいない!

高血圧

降圧薬として最も多く処方されているのはアムロジピンです。

Ca拮抗薬の副作用として頻度の多い浮腫みがあります。

ではアムロジピンで浮腫みが生じたら中止になるのでしょうか?利尿薬で対応するのでしょうか?

同じCa拮抗薬でも浮腫みが生じにくいベニジピンへの変更や、心臓に作用しやすいCa拮抗薬であるジルチアゼム、ベラパミルへ変更の選択肢があります。

この場合の浮腫みは利尿薬では解消されにくいです。

降圧薬として効果の高いCa拮抗薬!
浮腫みが出たら中止じゃもったいない!

Ca拮抗薬について詳しく見ていきましょう。

問題

Ca拮抗薬について正しいものを1つ選べ。

a:副作用は浮腫や歯肉増殖、便秘が多い。

b:アムロジピン(アムロジン)を服用中に浮腫が生じたらCa拮抗薬の継続を諦める。

c:腎保護効果は期待できない。

d:高齢者には推奨されない。

e:主な消失経路は腎排泄である。

e:Ca拮抗薬はグレープフルーツジュースと一緒に飲むと過度に血圧が下がるので注意ですと説明することが多い。

Ca拮抗薬一覧

主に血圧に作用するCa拮抗薬

  1. アムロジピン(アムロジン)※
  2. ニフェジピン(アダラート)※
  3. シルニジピン(アテレック)※
  4. ベニジピン(コニール)※
  5. アゼルニジピン(カルブロック)※

↑純粋に血圧を下げる効果としてはとても有用

主に心臓に作用するCa拮抗薬

  1. ジルチアゼム(ヘルベッサー)※
  2. ベラパミル(ワソラン)※

血管への作用はジルチアゼム>ベラパミル
心臓への作用はジルチアゼム<ベラパミル
を考慮して選ぶ。

Ca拮抗薬の種類と特徴(総論)

・CaチャネルにはL型T型N型チャネルと大きく3種類あり、作用が異なります。

L型は基本の血管拡張作用T型N型心拍数を低下させ、腎保護作用を示す。

・Ca拮抗薬もどのチャネルに作用するかで微妙に狙いが異なってくる。

ざっくり違いを見ていきましょう。

L型Ca拮抗薬の表


アムロジピン
(アムロジン)
ニフェジピン
(アダラート)
シルニジピン
(アテレック)
ベニジピン
(コニール)
アゼルニジピン
(カルブロック)
CaチャネルLLL、NL、TNL、T
半減期(約h)3588419
特徴半減期長い即効性あり 降圧効果強い頻脈が起きにくい浮腫が少ない心拍数の増加抑制効果がある
  • L型:血管拡張
  • T型:洞結節や副腎に存在→心拍数低下、Naや水分の排泄促進、心筋保護作用
  • N型:交感神経抑制に伴う心拍数低下、血圧低下
T型とN型は輸出細動脈にも存在し、輸出細動脈拡張によって糸球体内圧の上昇を抑制し、腎を保護する。

Ca拮抗薬の種類と特徴:薬剤ごと

アムロジピン(アムロジン)

半減期が長い(36h)ため1ヶ月程度かけて血圧は安定する。

コンプライアンスが多少悪くても効果は維持される。
ニフェジピン(アダラート)

降圧作用の面ではかなり強い

・即効性があり、80mgの高用量で処方できるので最後の砦となる。

・ただし浮腫やほてり、頭痛、動悸が発現する可能性もあるので要注意する。

シルニジピン(アテレック)

N型チャネルにも作用する。

頻脈が起きにくい

ベニジピン(コニール)

T型N型チャネルにも作用する。

浮腫みが生じにくい

アゼルニジピン(カルブロック)

T型チャネルにも作用する。

心拍数の増加抑制効果がある。

その他のCa拮抗薬としてジルチアゼム、ベラパミルがある。

ジルチアゼム(ヘルベッサー)・ベラパミル(ワソラン)

・前述のCa拮抗薬と異なり、降圧効果は弱いが頻脈を抑える効果は強い(この効果はジルチアゼム<ベラパミルとなる)。

降圧作用が高くない分、浮腫も少ない

・血圧コントロールが難しい・狭心症
→ニフェジピン(降圧効果が強い)

・CKD(慢性腎臓病)
→RA系阻害薬に追加でシルニジピン(ベニジピン、アゼルニジピン)(N型やT型は腎保護作用を期待できる)

・冠攣縮性狭心症、他のCa拮抗薬で浮腫を生じた
ベニジピン

・頻脈に対してβ遮断薬を使うが、高齢で呼吸器疾患があると使いにくい
→ジルチアゼム・ベラパミル

特徴を捉えると同じCa拮抗薬でも処方の際に考えやすく、処方意図を理解しやすい。

こんな応用例も

狭心症を合併した高血圧患者でニフェジピンを服用していたが浮腫で継続が難しい
ジルチアゼム
に変更する

モーニングサージタイプの高血圧
→アムロジピン錠2.5mg 朝食後、アムロジピン錠5mg就寢前

分2で処方する選択肢もある

Ca拮抗薬による副作用

浮腫(頻度多い)(ベニジピンは少なめ)、頻脈(動脈圧受容器反射による)。

「胸がドキドキする」と訴えることがある。

歯肉増殖(歯茎の腫れ)は服用中止の原因になる。

歯肉増殖の詳細はClick

便秘は頻発する。

アムロジピンの添付文書による頻度は1%程度だが、処方頻度が多いためよく見かける。

・高Ca血症を惹起することがある。

腸管Ca吸収の促進や腎遠位尿細管Ca再吸収促進作用を有するため、定期的にCa値を確認した方がよい。

Ca拮抗薬の注意点

・降圧作用が強いため、血圧が下がりやすく脱水となりやすい夏場にはCa拮抗薬を減量を検討する。

高齢者にCa拮抗薬が推奨される。

高齢者の場合、ARB・ACE阻害薬による輸出細動脈拡張作用で腎機能低下のリスクがある。

浮腫や歯肉肥厚は低用量から開始することで回避できる場合がある。

下肢浮腫が起こるが、体液量が増加しているわけではない→ループ利尿薬による浮腫改善効果は期待できない。

細静脈の血管拡張作用は強くないため、毛細血管圧が上昇し、血漿が組織間質側に多く移動し、間質に貯留し浮腫を来たす。

・浮腫に対して降圧効果との効果を期待してサイアザイドを使用することがあるが、その場合は処方カスケードとなる。

・急な低血圧にクラリスロマイシンの併用を疑う。

Ca拮抗薬はCYP3A4によって代謝されるが、クラリスロマイシンはCYP3A4を阻害する。
急激な血圧の低下により急性腎障害にもなりうる。

Ca拮抗薬と併用薬の使い方

・塩分摂取量の多い患者は利尿薬併用で著効する。

過度な降圧がリスクとなり

・ACE阻害薬・ARBとNSAIDsの併用で急性腎不全のリスク大
→NSAIDsからアセトアミノフェンへの変更を考慮する。

問題

問題

Ca拮抗薬について正しいものを1つ選べ。

a:副作用は浮腫や歯肉増殖、便秘が多い。

b:アムロジピン(アムロジン)を服用中に浮腫が生じたらCa拮抗薬の継続を諦める。

c:腎保護効果は期待できない。

d:高齢者には推奨されない。

e:主な消失経路は腎排泄である。

e:Ca拮抗薬はグレープフルーツジュースと一緒に飲むと過度に血圧が下がるので注意ですと説明することが多い。