ADHDには不眠になるコンサータと傾眠となるストラテラ・インチュニブがあります。
効果が出るのが早いコンサータは処方に登録が必要なので小児科・精神科以外の先生は処方の機会がないかもしれません。
ストラテラはマイルドに効いてくれて副作用も少ないです。1日2回の服用回数をどう捉えるか。
インチュニブは眠前に服用することで起床時の眠気を回避しやすくなりますが、元々血圧が低い場合は使いにくいです。
ざっくりとした特徴を知っておきましょう。
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- ✕ADHDの治療は基本的に1剤で行う。効果不十分な場合は他剤に変更を検討する。多剤併用を検討するのであれば専門医への相談が望ましい。
- ◯コンサータのような登録制度はない。
- ◯コンサータは土日を休薬日としてカロリー摂取量を確保する方法がある。子供は本来体重が増えていくものなので注意。
- ◯ストラテラの食欲減衰は続けることで軽減する。成長の抑制や体重の減少が続く場合には減量や薬剤の変更を検討する。
- ✕インチュニブは突然の休薬で血圧の急激な上昇や頻脈を生じうる。減量は3日以上かけて1mgずつ血圧、脈拍をみながら行う。
ADHDの治療の基本
- 併存症がなければ効果がわかりやすいコンサータから始める。
- どれかを単剤で使用し、効果不十分なら別の薬に変更するのが基本。
基本的に2剤以上の併用はしない。単剤でコントロール不十分であれば専門医に相談とした方がよい。
3つの基本薬 コンサータ・ストラテラ・インチュニブ
メチルフェニデート(コンサータ)
- ドパミン・NAd再取り込み阻害薬
- 即効性に優れる。
- 副作用:食欲減衰、不眠、体重減少
定期的に休薬日を設けて体重減少を抑制する服用方法がある。
- 処方するには医師の登録が必要で、少なくとも小児科学会もしくは精神神経学会の専門医である必要がある。
アトモキセチン(ストラテラ)
- NAd再取り込み阻害薬
- 効果も副作用もマイルドである。
効果の表れに時間がかかるので直ぐにやめてしまわないようにする。
- 6wの服用で6割が改善した。
- 副作用:悪心・食欲減衰(続けると改善する)、傾眠
- 水剤(甘く、ラズベリー風味)もあり、子供に飲ませやすい。
グアンファシン(インチュニブ)
- α2Aアドレナリン受容体刺激薬
- かつて降圧薬として使われていた。
- 副作用:傾眠、低血圧、脈拍減少、体重増加→眠気を考慮し夕食後の服用とすることが多い。
急激な服用中止は高血圧や頻脈を起こすため短期的な休薬は行わない。
- 錠剤が小さく飲みやすい。
- 起床時の眠気は3日ほどで軽くなる。
金曜から飲み始めると平日への影響が少なくなる。
- 欧米ではチック症に使われている。
ADHDの治療例
9歳男児のADHD
処方:コンサータ(18)1T 朝食後 14日分
- 2wで7割改善する。
- 3割は食欲低下の副作用が出るため18mg/日の初回用量から始める。
- 維持量の目安は1.2-1.5mg/kg
- 2w以上の間隔を空けて増量していく。
- 昼過ぎに服用すると夜眠れなくなるので朝食後服用とするが、昼食で食欲不振となりやすい
→朝と夜きちんと食べる。食べられそうな時に間食する。
学校にも昼食時に食欲が減りうることを伝えておくと良い。
- 来局時には体重を測り、摂取総カロリーが不足しないよう注意する。
ADHDの併存疾患
ADHDの半数は併存疾患がある。
自閉スペクトラム症
同じ行動を繰り返すことに執着する発達障害
- 易刺激性(自傷行為や周囲への攻撃)にはリスペリドンとアリピプラゾールで対応する。
- 併発しやすいとされる睡眠障害にはロゼレムとメラトベルで対応する。
問題
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- ✕ADHDの治療は基本的に1剤で行う。効果不十分な場合は他剤に変更を検討する。多剤併用を検討するのであれば専門医への相談が望ましい。
- ◯コンサータのような登録制度はない。
- ◯コンサータは土日を休薬日としてカロリー摂取量を確保する方法がある。子供は本来体重が増えていくものなので注意。
- ◯ストラテラの食欲減衰は続けることで軽減する。成長の抑制や体重の減少が続く場合には減量や薬剤の変更を検討する。
- ✕インチュニブは突然の休薬で血圧の急激な上昇や頻脈を生じうる。減量は3日以上かけて1mgずつ血圧、脈拍をみながら行う。