糖尿病

【糖尿病#12】まず知りたいインスリン治療の基本!

糖尿病

糖尿病の最終的な治療はインスリン投与になりますが、糖尿病の末期になるまでインスリンは使わないのでしょうか?

使い始めの用量・目標HbA1cは?

インスリン投与中の車の運転について。

インスリンによる厳格な血糖コントロールを行う強化インスリン療法は1型糖尿病には有用とされますが、2型糖尿病にはどうなのでしょう?

Quiz

インスリンについて正しいものはどれか2つ選べ。

  1. 血糖値に対するインスリンの適応として、空腹時では血糖値250mg/dL以上、随時血糖値 350mg/dL以上が基準となる。
  2. 50kgの血糖コントロール不良患者に、時効型インスリン5単位/日で投与開始した。
  3. 基礎インスリンの就寝前投与は、日中に投与するよりも低血糖や体重増加のリスクが高い。
  4. インスリンを投与中は、自動車の運転に従事させない。
  5. 2型糖尿病に対する強化インスリン療法は、総死亡率減少を目的として勧められる。

インスリンによって厳格な血糖コントロールを行うもの。

a b

  1. HbA1c 8.0以上では糖尿病治療の見直しが必要だが、HbA1c 8.0の血糖値の平均は180程度と推測される。経口薬でコントロールが悪く、空腹時では血糖値250mg/dL以上、随時血糖値 350mg/dL以上であればインスリン導入を検討する。
  2. ◯開始時の1日のインスリン投与量は、0.1~0.2単位/体重kg程度である。50kgでは5-10単位から始める。
  3. ‪✕‬日中に基礎インスリン補充した方が低血糖体重増加リスクが高い。自己管理できる場合は就寝前の投与が勧められる。
  4. ✕‬インスリン使用患者の自動車の運転は注意が必要だが禁止事項ではない。ただし、医師の判断が必要であり、直前に血糖測定をするなどが必要。本文参照。
  5. ✕強化インスリン療法により、2型糖尿病に対しては、心血管イベントの抑制作用が認められたが、総死亡が有意に上昇した。1型糖尿病における網膜症、腎症、神経障害の発症・進行予防ができる

インスリン

インスリンの絶対的適応

  • インスリン依存状態(病型を問わず)。
  • 高血糖性の昏睡(糖尿病性ケトアシドーシス、高浸透圧高血糖状態、乳酸アシドーシス)。
  • 重度の肝障害腎障害を合併し、食事療法でコントロールが不十分なとき。
  • 重症感染症外傷、中等度以上の外科手術(全身麻酔施行例など)のとき。
  • 糖尿病合併妊婦(妊娠糖尿病で食事療法のみで良好な血糖コントロールが得られない場合も含む)。
  • 静脈栄養時の血糖コントロール。

インスリンの適応

  • 高血糖(空腹時血糖値 250mg/dL 以上、随時血糖値 350mg/dL 以上)。
  • 痩せ型で栄養状態が不良
  • ステロイド治療による高血糖を認める。
  • インスリン以外の薬物療法では良好なコントロールができない
  • 糖毒性の是正が必要。

HbA1c 8.0以上では糖尿病治療の見直しが必要だが、その時の血糖値の平均は180程度と推測される。経口薬でコントロールが悪く、空腹時では血糖値250mg/dL以上、随時血糖値 350mg/dL以上であればインスリン導入を検討する。

用量

開始時の1日のインスリン投与量は、0.1~0.2単位/体重kg程度

50kgなら時効型インスリンを1回5-10単位

使い方

  • 細小血管症を予防するためには、HbAlc6.9%未満、空腹時血糖値110mg/dL未満、食後2時間血糖値180mg/dL未満が閾値となる

基礎インスリン補充のタイミング

日中or就寝前のどちらで基礎インスリンを投与した方がいいか?

  • 就寝前に投与した方がいい。
  • 日中に基礎インスリン補充した方が低血糖体重増加リスクが高い

入院中の管理など他者が投与を行う場合やインスリン調整で日中の投与が必要であれば日中の投与でも問題はない。

インスリンと運転

・インスリンを含む薬物治療により低血糖になる可能性がある場合
「安全な運転に支障を及ぼす意識消失などの症状の前徴を自覚できている
もしくは
「連転中の意識消失などを防止するための措置を実行できているので、運転を控えるべきとはいえない」
医師が診断した場合には、運転免許を取得できる

  • 運転する直前に血糖値を測定する。
  • 低血糖を起こしやすい人はブドウ糖を多く含む食品を車内に常備する。
  • 空腹時の運転を避ける
  • 何かを食べてから運転する。
  • 運転時に低血糖の気配を感じたときは、ハザードランプを点滅させ、路肩に寄せて停止し、ブドウ糖を含む食品を速やかに摂取する。

強化インスリン療法

  • インスリンによって厳格な血糖コントロールを行うものである。
  • 1型糖尿病における網膜症、腎症、神経障害の発症・進行予防ができる。
  • 早期からの厳格な血糖コントロールは1型糖尿病での長期にわたる大血管症の予防において有効である。
  • しかし、2型糖尿病に対しては、心血管イベントの抑制作用が認められたが、総死亡が有意に上昇した。
  • 厳格な血糖コントロールに際しては、低血糖や体重増加などのリスクファクターが大血管症の増悪に関係することを配慮する。
低血糖を繰り返すようだったり、体重増加をきたす場合は心筋梗塞などの大血管症を増悪させうるため血糖コントロールは厳格に行わない

問題

Quiz

インスリンについて正しいものはどれか2つ選べ。

  1. 血糖値に対するインスリンの適応として、空腹時では血糖値250mg/dL以上、随時血糖値 350mg/dL以上が基準となる。
  2. 50kgの血糖コントロール不良患者に、時効型インスリン5単位/日で投与開始した。
  3. 基礎インスリンの就寝前投与は、日中に投与するよりも低血糖や体重増加のリスクが高い。
  4. インスリンを投与中は、自動車の運転に従事させない。
  5. 2型糖尿病に対する強化インスリン療法は、総死亡率減少を目的として勧められる。

インスリンによって厳格な血糖コントロールを行うもの。

a b

  1. HbA1c 8.0以上では糖尿病治療の見直しが必要だが、HbA1c 8.0の血糖値の平均は180程度と推測される。経口薬でコントロールが悪く、空腹時では血糖値250mg/dL以上、随時血糖値 350mg/dL以上であればインスリン導入を検討する。
  2. ◯開始時の1日のインスリン投与量は、0.1~0.2単位/体重kg程度である。50kgでは5-10単位から始める。
  3. ‪✕‬日中に基礎インスリン補充した方が低血糖体重増加リスクが高い。自己管理できる場合は就寝前の投与が勧められる。
  4. ✕‬インスリン使用患者の自動車の運転は注意が必要だが禁止事項ではない。ただし、医師の判断が必要であり、直前に血糖測定をするなどが必要。本文参照。
  5. ✕強化インスリン療法により、2型糖尿病に対しては、心血管イベントの抑制作用が認められたが、総死亡が有意に上昇した。1型糖尿病における網膜症、腎症、神経障害の発症・進行予防ができる
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