やせ薬として使われるGLP-1作動薬!
糖尿病治療薬としても体重減少効果は非常に期待できます。
2021年には経口のリベルサスも発売されました。
注射薬ではGLP-1だけでなくGIPを刺激するマンジャロがあります。
食事療法が続かず、肥満で血糖コントロールが悪い方にGLP-1作動薬!
使い方や最も多い副作用について学びましょう!
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- ◯注射薬は1回/日と1回/wの薬があり、患者自身で投与することができる。1回/w製剤においても病院に来てわざわざ打ったりはしない。
- ◯中枢での食欲抑制作用において、自然に食欲が抑えられ、食事を我慢せずに楽しめることがメリットとなる。
- ◯ Cペプチドインデックスを計算し、(Cペプチド÷血糖値×100)<0.8の場合はGLP-1作動薬を使用せずに、インスリンを使う。
- ✕ 吐き気や下痢が生じる胃腸障害は頻度の多い副作用である。1-2ヶ月で収まることが多い。最初の吐き気だけで中断されないように初期にドンペリドンを服用させるか、症状が軽減してくることの説明が大事。
- ◯効果や副作用に差がないとされるため、短期作用型は外食時には食事を楽しみたい人(その日だけ使用を飛ばす)、長期作用型は打ち忘れがある人に適する。
GLP1作動薬
一覧
経口
- セマグルチド(リベルサス)←唯一の経口薬
注射
1回/日 ←打たなければ食欲無くならない日も作れる
- リラグルチド(ビクトーザ)
- エキセナチド(バイエッタ)(2回/1日)
1回/w ←打ち忘れ回避
- デュラグルチド(トルリシティ)←規格が1つで用量調節が楽
- セマグルチド(オゼンピック、ウゴービ)←肥満症に適応あり(ウゴービ)
- チルゼパチド(マンジャロ)←効果高い
配合薬
- ソリクア:インスリングラルギン+リキシセナチド(ランタス+リキスミア)←少し肥満
- ゾルトファイ:インスリンデグルデク+リラグルチド(トレシーバ+ビクトーザ)←肥満
作用機序
・DPP-4阻害薬と同様に、血糖値に依存して食後のインスリン分泌を促進するとともにグルカゴン分泌を抑制する。
- 空腹時および食後の高血糖を改善する。
- 単独投与では低血糖のリスクは少ない。
- HbA1c改善および体重増加の抑制が認められた。
- 体重減少は胃排出遅延作用と中枢での食欲抑制作用による。
初期には嘔気を訴えることが多いが、その後は自然に食欲が抑えられ、食事を我慢せずに楽しめる。
特徴
- 胃腸障害の発現を軽減するため、低用量より投与を開始し、用量の漸増を行う。
- 膵癌や膵炎の発症リスクを増加させないとされている。
- 超速攻型インスリンと同程度の血糖降下作用に加えて低血糖のリスクが低く、用量調整が不要であり、体重も減少する。
- 心血管イベントやCKDのリスク軽減の報告もあり。
心血管イベントを抑制するエビデンスがあるのはリラグルチド(ビクトーザ)、デュラグルチド(トルリシティ)、セマグルチド(オゼンピック)。
◯リラグルチド(ビクトーザ)(1回/日)とデュラグルチド(トルリシティ)(1回/w)。
- インスリン治療との併用が保険で認められている。
- 基礎インスリンあるいは強化インスリン治療中の患者に追加した場合にも、血糖コントロールの改善を認めている 。
- インスリングラルギンを追加した場合の血糖改善効果と非劣性あるいは優性である。
注意点
・使用前にCペプチドを測定する。
Cペプチドインデックス:
Cペプチド÷血糖値×100<0.8の場合はインスリンを使用する。
インスリン分泌が足りてないとCペプチドインデックスが<0.8となる。
→インスリンを選択する。
→インスリンを選択する。
体重減少効果
非常に大きい:チルゼパチド(マンジャロ)>セマグルチド(オゼンピック、リベルサス(経口))>リラグルチド(ビクトーザ)
大きい:デュラグルチド(トルリシティ)
中程度:SGLT2阻害薬
変わりなし:DPP-4阻害薬、メトホルミン
※日本の用量のトルリシティでは体重減少効果は低い。
→高齢で肥満がない場合はトルリシティを使いやすい。
注射の打ち忘れ
1回/日製剤
- 気づいたのが3h後であれば注射する。
- 12h以内であれば注射できないことはないが、胃腸障害が生じることを考慮し、無理に注射しなくてよい。
1回/w
- デュラグルチド(トルリシティ)←次回まで72h空いていれば打つ。
- セマグルチド(オゼンピック、ウゴービ(肥満症に適応))←次回まで48h空いていれば打つ。
- チルゼパチド(マンジャロ)←次回まで72h空いていれば打つ。
- 元々打っていた日は変えずに打つ。
- 48h空いてなければ忘れた分は飛ばす。
副作用
頻度多い:
胃腸障害:軽い吐き気や下痢→慣れてくる。
頻度少ない(増加させないとされているが、添付文書に記載はある):
急性膵炎:リパーゼの上昇に注意が必要。嘔吐を伴う強い痛み→画像検査。
- 持続的な上腹部痛・背部痛、発熱、悪心・嘔吐、食欲不振(腹痛は胸膝位で軽減)。
- 腹部診察で圧痛、筋性防御、腸雑音低下。
- 急性膵炎が頻度の高い胃腸炎とオーバーラップしてしまう可能性がある。
- 胃腸炎に伴って脱水になる→水分補給を意識する。
- 胆嚢炎、胆管炎、胆汁鬱滞性黄疸にも注意。
使い分け
短期作用型(1日1回)と長期作用型(1w1回)
- 短期作用型と長期作用型で体重減少に関する差は認めていない。
- 短期作用型(ビクトーザ)(1回/日)と長期作用型(トルリシティ) (1回/w)の比較では、血糖改善効果や副作用の発症頻度に関して有意な差がない。
- デュラグルチド(トルリシティ)(1回/w)はリラグルチド(ビクトーザ)(1回/日)に比較して、注射の遵守率が高い。
- 1回/日の製剤(短期作用型)では食欲を無くしたくない日がある場合、注射を飛ばすことで回避できる。
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- ◯注射薬は1回/日と1回/wの薬があり、患者自身で投与することができる。1回/w製剤においても病院に来てわざわざ打ったりはしない。
- ◯中枢での食欲抑制作用において、自然に食欲が抑えられ、食事を我慢せずに楽しめることがメリットとなる。
- ◯ Cペプチドインデックスを計算し、(Cペプチド÷血糖値×100)<0.8の場合はGLP-1作動薬を使用せずに、インスリンを使う。
- ✕ 吐き気や下痢が生じる胃腸障害は頻度の多い副作用である。1-2ヶ月で収まることが多い。最初の吐き気だけで中断されないように初期にドンペリドンを服用させるか、症状が軽減してくることの説明が大事。
- ◯効果や副作用に差がないとされるため、短期作用型は外食時には食事を楽しみたい人(その日だけ使用を飛ばす)、長期作用型は打ち忘れがある人に適する。