効果が高く、薬価は10.1円!(500mgも250mgも先発品もGEも同じ値段)(2024.7現在)
世界の多くで第一選択薬として使用されるメトホルミン!
乳酸アシドーシスや造影剤の併用について有名な薬ですが
2023年アップデートされた情報に注目!
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- ◯直接的にメトホルミンを服用した方がよいとされる理由。
- ◯ eGFR45-60:1500mg、eGFR30-45:750mgまでの服用を目安とする。また、eGFR30-45では新規に開始しない。
- ◯飲み忘れが多いなら1日1回にまとめても効果は変わらないとされる。胃腸障害は増えるのでその点は注意。
- ✕メトホルミンの服用は漸増が推奨されるが、これは胃腸障害を防ぐため。低血糖はもともと少ない薬剤である。
- ◯ eGFR60≦:休薬せずに施行できる。eGFR30-60:造影剤投与後48hは休薬する。メトホルミンの適正使用に関するRecommendation2023より変更となった。
メトホルミン(メトグルコ)
作用機序
・肝臓からのブドウ糖放出の抑制および 筋肉を中心とした末梢組織でのインスリン感受性を高める。
・肝臓内や骨格筋の脂肪燃焼を促進させる。
- TGや LDL-Cを低下させる効果も認められている。
- 体重の増減が少ない。
- DPP4阻害薬と比較して血糖降下が良好。
- HbA1c低下作用はSU剤やピオグリタゾンと同等かそれ以上に強い。
メトホルミン1500mgで1.2%、2250mgで1.8%下げる。
- 何よりも優れているのは、細小血管症(3大合併症)の予防効果だけでなく、大血管症による死亡の減少効果についてもエビデンスを有していること。
- 高血糖による発癌リスクの低下効果を持つ。
- 心血管リスクや死亡リスクを低下させる。
- 単剤では低血糖を起こしにくい。
使い方
- 用量依存性に効果を発揮することが知られている。
- 少量から開始して徐々に増量することで、胃腸障害を防ぐ。
1日500mgから開始し、1500mgまでは漸増する。
- 最高用量の目安が示された。(eGFR45-60:1500mg、eGFR30-45:750mg)
- eGFR30-45では新規に開始しない。
服用中の場合は腎機能を定期的に確認して750mgまでに留める。
- 飲み忘れが多いなら昼の分を飛ばして朝・夕の2回にまとめていい。
- さらに、夕の飲み忘れも多い場合は1000mg 1回朝のみ(500mg×2 朝・夕で服用していた場合)の服用でも効果は変わらない。
胃腸症状は増えるため注意する。
◯投与量が750mgで十分なコントロールができずに他の薬を増量するのはもったいない。
- 1000mg≦を目指したい理由
→1000mg≦の高用量では用量依存的にグルカゴンの肝での働きを阻害する。 - この働きが高用量メトホルミンが強力にHbA1cを低下させるカギである。
◯メトホルミンとDPP4阻害薬は相性がいい。
- どちらも体重を増加させず、低血糖を起こしにくく、作用機序としても理にかなっている。
- 胆汁酸が小腸でGLP-1の分泌を促進させる。
→メトホルミンは胆汁酸の再吸収を抑制することでGLP-1の分泌を増加させる。
→GLP-1の分解をDPP4阻害薬がブロックすることでより高いGLP-1濃度を得られる。
注意点
- eGFR<30や、脱水、脱水状態が懸念される下痢、嘔吐などの胃腸障害、過度のアルコール摂取、高度の心血管・肺機能障害、外科手術前後への投与は禁忌。
eGFR<30の禁忌でなければ積極的に使用したいところ。
- 利尿作用を有する薬剤(利尿薬、SGLT2阻害薬など)との併用時には、特に脱水に対する注意が必要。
- 長期に使用するとビタミンB12が不足する場合がある。
末梢神経障害や貧血を認める患者では注意。
- 高齢者では乳酸アシドーシスのリスクが増加する。
- 下痢や悪心の消化器症状は用量依存的だが、服用を続けることで慣れてくることが多い。
- 用量増加で腹部膨満感のリスクがあり、高齢者で750mg/日、若者でも1000mg/日までに抑えるとよい。
- 循環動態不安定(急性心不全や重症心不全)では乳酸アシドーシスリスク上昇のため禁忌。
慢性心不全として病態が安定している場合は予後を考えるとむしろ継続したい。
副作用
乳酸アシドーシス
・メトホルミンの用量依存で生じるというより、禁忌や慎重投与となっている例で生じることが多い。
乳酸アシドーシスに注意な4点
- ①腎障害:eGFR<30で禁忌
- ②脱水(シックデイ、過度のアルコール)で禁忌
脱水は利尿薬やSGLT2阻害薬の併用に注意。
- ③低O2血症を伴いやすい状態には禁忌
高度の心不全、呼吸不全、外科手術
- ④高齢者(特に75歳≦)では慎重投与
乳酸アシドーシスの背景因子となった割合
急性腎不全30%、慢性腎不全30%、飲酒30%、75歳≦30%、心疾患30%、慢性肝障害15%、脱水66%、利尿薬併用34%、経口摂取不良34%、ヨード造影剤併用6%、感染症30%
- ヨード造影剤を背景因子として発症する乳酸アシドーシスは全体の6%と意外にも少ない。
- 2023にメトホルミンと造影剤の適正使用として、全例では併用禁忌でなくなった。
- 詳細は次項のメトホルミンと造影剤を参照。
メトホルミンと造影剤
eGFR60≦:休薬せずに施行できる。
eGFR30-60:造影剤投与後48hは休薬する。
- 腎機能に特段の問題がなければ造影によって乳酸アシドーシスを起こす危険性は極めて低い。
- eGFR30-60の患者では,ヨード造影剤検査の前あるいは造影時にメトホルミンを中止して48時間後にeGFRを再評価して再開する。
メトホルミンの適正使用に関するRecommendation2023より
- アメリカのガイドラインではeGFR30≦では検査の前後で休薬は必要ないとしている。
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- ◯直接的にメトホルミンを服用した方がよいとされる理由。
- ◯ eGFR45-60:1500mg、eGFR30-45:750mgまでの服用を目安とする。また、eGFR30-45では新規に開始しない。
- ◯飲み忘れが多いなら1日1回にまとめても効果は変わらないとされる。胃腸障害は増えるのでその点は注意。
- ✕メトホルミンの服用は漸増が推奨されるが、これは胃腸障害を防ぐため。低血糖はもともと少ない薬剤である。
- ◯ eGFR60≦:休薬せずに施行できる。eGFR30-60:造影剤投与後48hは休薬する。メトホルミンの適正使用に関するRecommendation2023より変更となった。